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41.『さくらの手紙』/『春の怪獣』
『さくらの手紙』
今年も華やかな着物に身を包み、さくらが僕の下へ来てくれた。
彼女は旅行好きで、南北にこの国を横断している。だから、色々な事が書かれたピンク色の便箋をたくさん渡してくれる。
彼女はおてんばで、すぐに旅立ってしまう。僕は行ってらっしゃいと見送った。
また来年、楽しい思い出を聞かせておくれ。
『春の怪獣』
春の嵐と共に、そいつがやって来た。突然やって来ては、国中の民を苦しませる。
仕事から帰宅途中のマスクをしている女性も、その巨大な存在と毎度立ち向かっていた。しかしいくら対策をしようが、結局ムダ骨に終わってしまう。
家に入っても、そいつはドアを叩いてくる。
「もう花粉はイヤだー!」
春は色んなものを運んできます。