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40.『願いごと』/『ホワイトデー』
『願いごと』
気持ちよさそうに背中を伸ばしていた黒猫は、夜空の中に何かが動いているのを見た。それはほうき星だった。尾の辺りがキラキラ光って流れている。
人間はあれに祈ると願いごとが叶うと信じているらしい。黒猫は目を閉じた。
「どうか、人間が僕を見ても嫌な顔をしなくなりますように」
『ホワイトデー』
知らない男子からクッキーをもらった。恥ずかしくてチョコを一個も配っていないから、覚えは全くない。焦った。
「俺に本命をくれたのは君だよね」イケメンだった。だが言動は不細工だ。緊張して声が出ない。
「俺、超嬉しかったんだ。だから、放課後一緒にミスド行かない?」
新手のナンパだと分かった。
『願いごと』は、毎月14日開催の「ツイノベの日」への参加作品です。お題は「ほうき星」