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4.『ヒーロー不在』/『小さな勇者』

     『ヒーロー不在』


「おはようございます!」悪役が挨拶するが、撮影隊は慌てた様子だ。

「何かあったんですか?」

「実は、主役の到着が若干遅れそうなんだ」

 うーんとうなる一同。すると監督が

「よし、悪役だけ先に撮ってしまおう」

「え?」

 かくして、悪役はしばらくの間エアバトルをするはめになった。



     『小さな勇者』


 女性の服にバッタが付いていた。「は、早く。誰か取ってぇ!」

 すると、小さい女の子がそれをつまむ。

「あ、ありがとう……」女性はヘタヘタと座りこんだ。

 バッタは女の子の手の中で暴れている。

「あっ!」

 手からバッタが飛んで女の子の顔に体当たりした。

 その姿はまさに勇者だった。

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