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20.『師走』/『お寝坊のサンタ』
『師走』
雪がちらつくお昼頃。散歩しながら、明日は師走だねぇと孫に言った。
「しわすって?」
「十二月のもう一つの呼び名だ。皆忙しくなるんだよ」
ふうん、と辺りを見回す。何やってるのと訊くと、
「あの人は師走?」孫はスーツの男を指した。
男は、慌てるように公衆トイレへ入っていった。
『お寝坊のサンタ』
長い眠りからサンタが目覚めた。ハッと時計を見る。
「寝坊した。もう十二月になってしまう。子供たちの願いを調べておらん!」急いで準備するが、とても時間が足りない。
すると助手の女性サンタが、任せてくださいと言った。
「去年のプレゼントに盗聴器を仕掛けてありますから!」