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17.『白い息』/『無口なお姉ちゃん』
『白い息』
肌寒い外を散歩していたわたしは突然、「お姉ちゃん大変だよ!」と男の子に言われた。
どうしたのと返すと、早くしゃがんで、と慌てている。一応言う通りにした。
すると、いきなり口を塞がれた。
「魂が抜けて死んじゃうよ!」わたしの吐く息は白い。
可愛くて、持ち帰りたくなった。
『無口なお姉ちゃん』
あたしのお姉ちゃんは無口だ。散歩してても会話が続かない。そのくせ、一緒に歩く手は離さない。
「ねえ、肉まん食べながら帰ろうよ」
あたしはコンビニへ連れていく。だが、一個しか買えなかった。
「ん」するとお姉ちゃんは三分の二をあたしに差し出した。
言葉なんて必要なかった。