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123.『登場人物のラスト』/『外の世界』
『登場人物のラスト』
物語が終わるのが嫌いだ、と小説家は言った。せっかく登場人物皆が幸せになっても、読者は今後彼らがどう生きていくのか見れないからだという。
「だから、ラストで皆殺しにする」
小説家は自分の作品のプロット案を言った。どうせ見れないなら……
『外の世界』
今年初めて暑くなった夜、久々に窓を開けたら、外には意外と音があった。
車の走行音、風に揺れる葉の擦れる音、蛙や虫の声……。
窓が閉まっていた時は無音だった外は、飽きないほど音があった。
私はかなり久々に外に出て、そして叫んだ。
私の声はその音たちの一部になった。