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121.『塀の向こう』/『黒いサンタ』
『塀の向こう』
「今日もいい天気ですねぇ」
古びた日本家屋に住む老婆は、縁側で日向ぼっこをする夫に熱いお茶をだした。
「そうだなぁ。お茶が美味しく飲める」
一口すすった夫は、高い塀の向こうに耳を澄ませた。「何か聞こえないか婆さん」
「また殺し合ってるのでしょうねぇ」
塀の向こうに平和はない。
『黒いサンタ』
サンタには二種類いて、皆がよく知っている赤いサンタと、真っ黒な服のサンタがいる。
黒サンタはクリスマスの少し前に悪い子の家に行き、その子が侵した罪を問いただす。
反省すれば黒サンタは許すが、そうでないなら子供をおもちゃに変え、そしてそのおもちゃを赤サンタに渡すという。