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120.『見たくないこと』/『見届けること』
『見たくないこと』
僕は自分の目が嫌いだ。色や形ではなく存在そのもの。目があの時なくなっていれば良かったのに。
宇宙人が攻めてきて、美しかった街が瓦礫の山と化し、幼馴染のあの子が死んでいる所なんて見ずに済んだ。
なんで僕だけ無傷なんだよ。助けて。僕の目をなくしてくれよ。
『見届けること』
何者かに破壊しつくされた街で、幼馴染の女の子が命を落とそうとしていた。もう助からないと素人でも分かる。
なら、彼女を最後まで目に焼き付けようと決意し、 傍に座った。
息が絶え、頰がこけ……。
僕は彼女が骨になる過程全てを見届け、丁寧に埋葬した。