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12.『少子化』/『改心』
『少子化』
ある国では、深刻な子ども不足に悩まされていた。国民には子どもをつくる余裕はなかった。
「王様、ご決断を!」家臣や賢人達が懇願する。
「仕方ない」彼は重い腰を上げた。
「これから可愛い子を王宮に差しだした者は、金輪際税金をタダにする!」
十年後、城はパラダイスになった。
『改心』
一人暮らしの老父は、子供達に料理を振舞うのが趣味だった。
「おいしいね」
「旨いぜじいちゃん!」
彼らの笑顔が可愛くて、しわくちゃの顔がほころぶ。
「ねえ」子供の一人が手を止めた。「昔刑務所に居たって本当?」
「ああ、そうだよ」元連続子供誘拐犯の老父は静かにそう答えた。




