117/124
117.『怪物』/『怪獣』
『怪物』
娘が病気で寝込んでいる。訳ありだから医者には見せられず、この島には俺とこの子だけで、頼れる者はいない。
人里で盗んだ食料を口に入れてもほとんど吐き出し、だんだん呼吸が浅くなり心臓の動きも弱くなる。
途方にくれていた時、俺を退治しに来た冒険者が現れた。
『怪獣』
ブラックホールであると公表された画像は、円形の黒い影と周囲で光る赤いリングだった。
だが、あの時の人類は気づいていなかった。はるか彼方に同じ規模のブラックホールがあり、そしてまた別の方向にそれらとは比べものにならないくらい巨大な口と牙があることを。怪獣の存在を。