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112.『桜前線』/『お菓子の家』
『桜前線』
桜前線が北海道の最東端に着き、僕はその様子が見たくて訪れた。するとそこには、疲れ切った様子の桜の精がいた。
「やっと、今年の仕事が終わった。もうくたくたよ」
そして桜の精は地面へ溶けるように消えた。
今年もありがとう。ゆっくり休んで、また来年綺麗な花を咲かせておくれ。
『お菓子の家』
新しい家に住み始めた魔女は、ここをお菓子の家にしたいと考えました。
全部がお菓子になったら、子どもが誘われてきます。その子どもを魔法の材料にするのです。
そして魔女は言い放ちました。
「家とその中のもの全部お菓子になれ!」
家とその中のもの、そして魔女もお菓子になりました。