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108.『お似合いの服』/『性癖の芸術』
『お似合いの服』
何か服を買いにお店に行くと、
『いらっしゃいませ。よろしければ、お勧めの服をお探しします』
目の前に人型ロボットが現れた。
「じゃあ、頼むよ」
僕はしばらく店内をブラつきながら待った。だが、三十分経っても返事がない。店員に聞くと、
「どうやら、お客様にお似合いの服はないようですね」
『性癖の芸術』
とある芸術家を新聞記者が訪ねた。
「恐怖に歪んだ女性の顔を専門とする方とお聞きしました」
記者は部屋を見回した。壁に完成した絵が飾られている。
「楽しいですよ。性癖なもので」
ずいぶん現実味のある作風だ。
「モデルはいるんですか?」
「ええ。とても綺麗なんです」
芸術家はニヤリと笑った。