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105.『私との時間』/『定時』
『私との時間』
今日は久々に彼と外出した。なぜか朝から彼は泣いていた。
私はとても嬉しいのに。人形でなければもっと表情豊かに喜ぶのに。
やがて彼は私をごみ捨て場に捨てた。彼の左手薬指には指輪があった。
ああ、そうか。私との時間はもう、終わってしまったのね。
『定時』
僕はいつも定時に退社している。きちんと仕事を時間通りに終わらせるのは、社会人の基本だ。
こんな僕だが、会社の皆からは嫌われているようだ。
その原因が知りたくて、唯一仲の良い同僚に聞いてみた。すると、
「いつも定時に帰っているから」
だそうだ。
どうして皆のペースに合わせなくちゃならない。