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104.『星空のカーテン』/『花火は散る』
『星空のカーテン』
彼女が、カーテンを星空柄にした。仕事の合間を縫って観に行った。
「すげえ……」天の川が中心を通っている。
そんな美しいカーテンだが、彼女は機嫌が悪い。黙って口をきかない。
少しして理由が分かった。
「ゴメン、仕事が忙しいんだ。一緒に星空、観に行こうな」
『花火は散る』
彼女と一緒に花火を見た。河川敷で行われ、対岸から大きい花火が次々と打ちあがる。
「綺麗ね」彼女はそうつぶやいた。
お前の方が綺麗だよ。こう言いたかったが、照れ臭い。
「私たち、あの花火のようね」
「どういう事?」
「爆発四散するの。もう、終わりにしましょ」彼女はまっすぐ僕を見た。