101/124
101.『鵺』/『空気』
『鵺』
鵺という妖怪がいる。色んな生き物の体を持っていて、本人にも一体いくつの動物の体が自分を形成しているのか、分からない。
鵺は欲があっただけだ。人気者になりたいという、ただそれだけだ。
どれだけ動物のいい所を集めれば皆に好かれるだろうか。疑問は尽きない。
『空気』
黒いスーツを着た集団がある家に押し掛けている。僕は、そんな怖い所へ行くことになった。
家に入ると、全員がうつむいて沈んだ表情をしている。
僕は元気な挨拶を大事にしている。だから大きな声で、「おはようございます!」と言った。
ここが葬式場という場所であることを知ったのは、そのすぐ後だ。