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27.キャンプ地を離れる準備

 

 フローは安全な下りルートを探りに行き、のんびり待つ藍は、パソ神さまに願って(注文品をカートにドラッグして)旅装を用意していた。


 身分設定をどうするか、きゃいきゃいと言い合いながら楽しみ、結局現実的な線で決着、変装慣れしているし背も高いフローが兄、藍が妹の行商人を装うことになった。フローは何度か行商人として王都の最外壁を出入りして布を売ったことがあるとのことで、この先の旅程でもやりやすいらしい。

 旅の行商人に扮するなら、身分証明を用意した方がいいという。街門を通るにも、宿に泊まるにも、広場で商品を売る許しを得るにも、持っていればスムーズに事が運ぶ。

「コネもあるから、なんとかして身分証を手に入れてきます。高く売れそうなものを持って行っていいでしょうか」

「もちろんよ」


 大銀貨を三枚とも預かり、できるだけ素朴な出来の手縫い革製品と、ビーズをびっしりと縫い付けたコスプレ用お姫様ハンドバッグを預かって、山を下り外門から王都に入って行ったフローは、約束通り三日目の夕暮れ時に帰ってきた。


「帰りました、藍」

「おかえりー、まあ座って、座って、お疲れー、お茶入れようか」

「よかったら、コーヒーをお願いできますか」

「おっけ、チョコつける?」

「ぜひ」



「ねえさ、フロー、大銀貨三枚持って行って、身分証明のタグをふたつ買ったんでしょ」

「ええ」

「宿に二泊して」

「泊まりました」

「それでさ、どうして大銀貨五枚と、小銀貨十枚に増えるのか、聞いてもいい?」


「預かっていった皮のパースがひとつ大銀貨三枚、合計九枚、ビーズバッグが金貨一枚で売れました」

「え? 金貨?」

「ええ」

「それって、大銀貨何枚分?」

「十枚です」

「ひえー、コスプレ用バッグが一個六十万? 誰が買ってくれたの?」

「小さくて、ピンクから白へとグラデュエーションが美しい物でしたし、金具の取り付けもしっかりしていました。あれはデビューする令嬢に名付け親が贈るにはちょうどいい商品です。一個しかないところも希少価値があります。貿易船のコネから特別に仕入れたといって、貴族向けのドレスショップに売りました」


「へー、すごくない?」

「はあ、まあ。ここの王都には何度か行商人として出入りしていますので」

「そうなんだねえ、フローって凄腕なんだね」

「いえ、上のアホ作戦で死ななくて済むように、いろいろコネを作っていまして」

「うーん、フロー、私は凄く尊敬したよ。 フロー、すごい」

「私に功績があるとすれば、すべて藍のものです。忠誠を誓った侍女ですから」

「いやん、やめてよ。固いわ、カチンコチンよ、すごいのはフロー、ほめてんのは私、素直にほめられて? えーっと、新しいチョコ、ほら、箱ごとあげる」

「うれしいです!」


 今度はナッツのチョコで一粒二百円ぐらいのが二十五個並んだ四角い缶入りだった。

 しかし、裏取引の身分証明タグ二個と、倍に増えた銀貨の褒賞としてはかなり安いのでは? まあ、フローなら、崖から二十五回飛び降りちゃうわけだけど。


ここで、ふたりの登場人物の掛け合いによるストーリー展開は終了です。お付き合いいただき、ありがとうございました。読んでくださる方あればこそ、こうして藍が無事に生き続ける姿も描けました


この先は、フローにファンデル領城まで連れて行ってもらいます。この世界にも助けてくれる人ができて、息がつける感じになっていきます。その次は、ハンスのターンです。藍がこの世界で幸せに生きて行けるよう、ハンスにはがんばってもらいましょう


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