1/3
●序
日が昇り、一日が始まる。
日が落ちて、一日が終わる。
夜の帳は魔界の始まり。
決して出歩いてはいけない。
魔に囚われる。
恐ろしい魔王が浚いにやって来る。
眼を閉じ、耳を閉じ。声を聞いてはならない。
その声は優しく惑わし、その姿は艶やかに誘う。
決してその手を取ってはならない。
それは人の『死』を意味するのだから。
「魔の時までには戻りなさい」
親の言葉に子供たちは神妙に頷く。
だが、その闇が本当に恐ろしいものであるか知る者は無い。
知って、戻ってきた者は無い。