表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バベルの塔へ  作者: 背骨
2/10

2 廃病院

 川沿いの道を歩いていくと、そこに廃病院があった。僕は生首の入った箱を抱えたまま病院の敷地に足を踏み入れる。壊れたドアから建物内へ。


 廊下は窓が割れ、ゴミが放置されている。大便やエロ本や注射器や使用積みコンドーム、動物の死体まで落ちている。それらを踏まないように注意しながら進み、突き当りの衝立を回り込むと、そこに地下への階段がある。


 階段を下りていくと、そこはバーのような空間になっている。カウンターがあり、その奥に酒の瓶の並んだ棚。ジュークボックスやビリヤード台がある。


 ソファに座ってバドワイザーを飲んでいる白人の大男がいる。この男がジョニーだ。いつも薄汚れた白衣を着て、金髪で青い目をしている。年齢は30歳ぐらい。


「ジョニー」と僕は声をかける。

「ん? ナクか。調子はどうだ?」

「ちょっと困ったことが起こった」

「お金なら貸さないぞ。それとも女がらみか?」

「そのどっちでもない……いや、女はちょっと絡んでいるかな」


 僕は箱の中の生首を見せて、宅配便でこれが送られてきたことを離した。


「なある。それは事件の匂いがするな」とジョニーは顎を撫でながら言った。


「どうすればいいと思う?」

「いい方法がある」


 ジョニーはそう言って生首をむずとつかむと、その首の切断面に何やらコードを接続しだした。


「何をするつもり?」

「まあ見てなって」


 生首とパソコンをコードでつなぎ、カチャカチャとキーボードをたたく。そしてエンターキーをタンっと強くたたくと、その瞬間、生首少女の目がぱちりと開いた。


「わああ!」


 僕は驚きでしりもちをついてしまった。


「ここはどこ?」


 生首の少女は目をぱちくりさせてそう言った。


「君は死んで、生首だけになっているんだ」とジョニーが説明する。


「私の体を取り返して。お願い」


「もちろんさ。ここにいるナクくんが必ずや君の体を取り戻してくれる」とジョニーは勝手に言ってウィンクをした。


 こうして僕は少女の体を取り戻すことになったのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ