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12能力



「モネ君、スキルボードのステータス欄に生活魔法が載っているか見て見たら~」


 

  

「分かりました」


 

______________

個体名:モネ

年齢:生後28歳

HP:110 MP:954

健康状態:健康

種族:???(適応中)

スキル:料理6 集中7 言語6

    速読3 書類作成6  並列思考4 

    精神苦痛耐性12 肉体苦痛耐性6

    魔力操作1

戦闘適性:弓・魔法

______________


  

 

あっ戦闘適性に魔法が記載されているな。魔法の文字をタップして見ると確かに、そこには生活魔法が習得出来ていたのだ。



 

「生活魔法が使えるようになってました」


 

 

僕がそう伝えると、他にもスイさんが俺関連について説明し始めた。




「実はね。僕たちNEOクラン全体が”勇者の保護者”っていう称号をマザー機から貰っているんだよ~」



 

「このクランメンバー全員が勇者の保護者?」

「うん。そうだよ」


 

 

俺って本当に勇者なんだ。


 

  

…勇者として召喚されたのに、召喚された余波で死んだから巻き込まれた一般人だと思っていたのに。


 


「その称号を持っていると、モネ君のステータスを覗き見ることが可能なんだ~。でも、もちろんモネ君がステータスを見られるのに抵抗があるなら僕たちは見ないことにするよ」


 

 

「なるほど」


 

 

称号を得たら何かしらの副産物が与えられるのか。一応、俺の身を預かるものとして健康状態のチャックをしたいらしいからステータスを見してもらうことは可能か聞かれた。


 


その際にスキルなど見られるけど…とスイさんは付け加える。




「大丈夫です。皆さんにはここに身を置かせて貰っている御恩もありますし、何より信頼していますから」



 

「ありがとうね。これからもできるだけモネ君の異世界ライフをサポートしていくよ~」

 

 


そんな風に微笑んでいたスイさんは僕のスキルボードを確認した瞬間、表情が一変した。 目を見開き、息を呑んだのだ。


 

 

「…モネ君、ちょっといい?」


 


その声色は先ほどまでの穏やかなものとは違い、どこか緊張感を帯びていた。


 


「はい。どうかしましたか?」


 

 

スイさんは少し言い淀んだ後、「君は前の世界で虐待を受けた覚えはあるかい?」と意を決したように口を開いた。

 

 


そんな唐突な質問に驚きつつも、俺は苦笑いを浮かべて首を横に振った。


 

 

「いえ、そんなことはありませんよ」


 


しかし、そんな俺の反応が逆にChapさんを不快にしてしまったのだろう。




彼に「じゃあ、なんで『精神苦痛耐性』が12もあるんだよ!それに他のスキルも軒並みレベルが高い。普通じゃありえないだろ!」と指摘されて俺は言葉を失った。


 


「…ルギドでのスキルの最大レベルを知っているか?」



 

伊吹さんも何とも言えない顔で俺に問う。




「…知りません」


 


僕が正直に答えると、彼は淡々とした口調で告げた。



 

「20レベルだよ」


 

 

確かモネの年は28。

 

これに間違いはないかと聞かれたので俺は、はいと答えた。



 

「まず、その年で苦痛耐性を持っていること自体、ルギドではおかしいんだ」



 

伊吹さんは続ける。


 


「ルギドの平均寿命は2000歳で、成人と認定されるのは300歳から。そして、50歳までは政府が管理する保育施設で過ごすのが基本なんだ」




なので本来、年齢的に俺は保育施設で教育を受けるのだが特例で、このクランで生活させて貰っているらしい。


 


伊吹さんは特例の部分は、異世界人で加えて死人が保育施設に馴染めない可能性が高いとマザー機が判断したのではないかと予想を述べた。


 

 

(スイさんが俺を子供だと言うのは、そんな理由があったのか…)


 

 

「だからルギドでは苦痛耐性を持つようになるのは50歳を越え、本格的に仮想空間で行動し始めた頃なんだ」



 

その言葉に、初めて俺は自分のスキルレベルの高さがどれほど異常なのかを実感した。



 

「本当はクラン貢献のためにあんたを働かせる事態、よくないのに…」



 

Chapさんは泣きそうになりながらキッと伊吹さんを睨みつける。

 



「それはしょうがないだろう。政府にモネの保護を命じられているが、自立できるように教育するように言われたんだから」


 

 

それに俺達のクランは高ランク冒険者が集まっているんだぞ。NEOクランに憧れた信者たちがそのメンバーに特別扱いを受けるモネの姿を見られたら、モネに危害が及ぶと伊吹さんはChapさんを窘めた。



  

その話を聞いたChapさんは突然「もういい!」と声を荒げて、俺の腕を強く掴み、抵抗する間もなく彼は俺を立ち上がらせる。



 

(え、えっどうして俺掴まれているんだ?)




そう考える時間も与えずにChapさんは「こんな話、あんたには疲れるでしょ」と言い放ち、俺を部屋の外へと連れ出すのであった。




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