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75 真実の愛の相手

和やかな昼食が終わり、これから風魔法を使いながら追いかけっこをして遊ぶというポプルスたち3人と別れ、シーニーと一緒に研究室に移動した。

どの部屋でもよかったが、作りたいものができたので、話し合いが終わったらすぐに取り掛かれるようにと研究室にしたのだ。


「シーニー、クライスト国について調査してもらった時にポプルスたちのことも調べてもらったと思うんだけど、奴隷になった経緯って分かる?」


「ポプルスたちですか? 分かりますよ」


シーニーは魔法で書類の束を呼び寄せ、2・3ページ捲っている。


「ポプルス・グース王・クインス・タクサスの4人とも借金奴隷です。クインスとタクサスに関しては親の借金を背負わされての奴隷堕ちでして、ポプルスとグースに至っては金融機関で借りられるだけ借りて返済期間が間に合わなくてになります」


「ポプルスとグースの借金の理由は分かる?」


「申し訳ございません。どこにも残ってなく調べられませんでした」


「そう。じゃあ、ポプルスとグースがいた娼館はどこか分かる?」


「それなら奴隷小屋に書類が残っておりましたので分かります。『キオヤホラサナ』という娼館でして、経営しているのはエッショルチア国になります。2人は運良く国運営の娼館に買い取ってもらえたようです」


「なるほどね」


こうなってくると、カーラーさんが話していた内容が嘘くさいわね。

カーラーさんは娼館でポプルスとグースに会って、そこにネーロさんが通っていたからポプルスを好きだって気づいたって言ってたわけでしょ。

でも、調査結果を聞く限り、ネーロさんと結託していてもおかしくないと思うのよね。

だって、カーラーさんはエッショルチア国の王子と寝ている可能性があって、借金奴隷に落ちたポプルスとグースを買い取るよう操れるじゃない。

元々ネーロさんがポプルスを好きなのを知っていて横槍を入れたってんなら、また話が違ってくるんだけどね。

んー、なんだろうなぁ。やっぱり何か足りないんだよねぇ。


「ん? ねぇ、シーニー。エッショルチアの王子の真実の愛の相手って、王族御用達の娼館で働いていたって言ってたわよね。それって、まさかポプルスたちと一緒じゃないわよね?」


「半分一緒です。娼館は男女で専用の館が違っておりまして、真実の愛の相手の令嬢は清掃員として両方の館を行き来していました」


「ポプルスたちとその令嬢に接点はある?」


「あるかどうかは分かりませんが、就業時期は半年ほど被っています」


会っているかもしれないし、会っていないかもしれないのか……

会っていたら、こことも何か繋がってくるのかな?


「ノワール様、何かございましたか?」


「んー、今から言うことは内緒ね」


「もちろんです。私はノワール様の眷属です。裏切りは死を意味します」


「そこまでじゃなくていいわよ」


真面目な顔で真剣に伝えてくるシーニーを笑うと、シーニーは瞳を瞬かせた後、恥ずかしそうに視線を落とした。


私は、カーラーさんの屋敷で起こったことや知ったことをシーニーに伝えた。

口に出したおかげか、昨日の夜からのモヤモヤは落ち着き、頭がはっきりとしてくる。

そして、やっぱりムカついてくる。


「ポプルスが……なるほど……」


「ねぇ、シーニー。ネーロさんについて何かあったりする?」


「いいえ、ネーロ様もネーロ様の森も特質するような内容はありませんでした」


「そう。それじゃあ、もう1度『キオヤホラサナ』という娼館を調べ直してくれないかしら。何か出てくるかもしれないわ」


「分かりました」


「それと、来週みんなで旅行に行きましょ」


「りょ、こうですか?」


「ええ、ネーロさんにやり返す前に休息を取ろうと思ってね」


「かしこまりました。準備しておきます」


「うんうん。シーニーはどこに行きたい? というか、お勧めの国ってある?」


「え? 私も一緒に……ですか?」


「そうよ。ブラウとパランも誘いましょうね。ランちゃんにも戻ってきてもらって、みんなで行きましょ」


「えっと、その、屋敷を空けることになりますが……」


「シャホルさんでさえ壊せなかった結界があるのよ。問題ないわ」


動揺しているシーニーに微笑みかける。


「一緒に出かけましょう、シーニー。今までしてこなかったたくさんのことを、みんなでしましょう」


「は、はい」


また瞳を潤ませているシーニーに、本当にシーニーはずっと寂しかったんだろうなと思った。

シーニーだけじゃない。

きっとブラウたちも構ってほしかったはずだ。

だから、みんな、変わった私をすんなりと受け入れてくれたんだと思う。


ネーロさんにやり返す前に思い出を作っておかなきゃね。

眷属のみんなは、絶対に巻き込んじゃうもんね。

アピオスたちに関しては、危なくなったら地下に避難してもらえばいいかな?

地下の危険物を触らないように言えば、あの子たちなら触らないと思うしね。

ポプルスに関しては……考えは変わらず、ポプルスの好きなようにさせよう。

まぁ、ただポプルスがネーロさんを害したいと思う時には、ネーロさんはすでにボロボロかもしれないけどね。

私を、ノワールを、人殺しにさせた罰を盛大に受けてもらおうじゃない。




ブックマーク登録、読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。


次話から旅行の話になり、物語の区切りが悪くなりますので、年内の投稿は本日をもって終了といたします。

事前に告知をしておらず申し訳ございませんでした。

次回の投稿は、約1ヶ月後の1月20日(月)を予定しています。

その間に頑張ってストックを作れたらいいなと思います。


2024年、作品を読んでくださり本当にありがとうございます。

読んでくださる方がいらっしゃることはとても嬉しくて、楽しく書く力になっています。心より感謝しております。

2025年も私らしく変わらず楽しく投稿していこうと思っております。引き続きお付き合いくだされば、この上なく幸せです。

朝晩と冷え込みが激しく、風も冷たくて身にしみる季節です。皆様、どうかご自愛くださいませ。

皆様や皆様の大切な人たちが明るい日々を過ごせていますように。

よいお年をー╰(*´︶`*)╯♡

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