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29 不可侵

朝食前に森の結界を魔術で強め、屋敷にも新しく結界を施した。


「アピオス、カッシア。もし知らない人が来たり、外でいつもと違うことが起こったら屋敷に入るのよ。約束ね」


「分かりました」


「はい!」


「それと、今日の午後からの授業の先生は私だから。みんなで魔法の勉強をしましょ」


「いいんですか?」


「やった! 魔法!」


2人の期待が膨らんでいる顔に、しっかりと頷いた。

より2人の瞳の輝きが増している。


「でもね、使えるかどうかは生まれつきの問題で、使える人はほんの一握りの人なの。だから、使えなくて当たり前と思って参加してね」


「「はい!」」


そんな和やかで癒しのひとときが終わり、シーニー・ブラウ・ランちゃん・パランとの会議をはじめた。

昨日の意味不明な嫌がらせについては、みんな知っている。


「みんなは、誰の仕業だと思う?」


「ノワール様の魔力を感知して爆発をさせるという技術があるような方ですので、嫉妬のアスワド様、憤怒のヒタム様は違うと思います。後、1番気紛れだと言われている怠惰のムスタ様も候補から外していいかもしれません」


「シーニーの意見に賛成やないの、ご主人」


「残りは、暴食のシャホル様、傲慢のネーロ様、色欲のカーラー様ですわぁ。でも、どなたもこんな益にならないことをするんでしょうかぁ?」


「魔女の仕業なのは間違いないッス! 誰かがボスに喧嘩を売ってるッス!」


「順当に考えれば、魔法を得意とするカーラーさんになるんだけどなぁ。でも、あの人、魔女会議でも男の話しかしないんだよ。私に興味なんて微塵もないと思うんだよね」


「男となると、ここにいるのはポプルスだけですね。アピオスはさすがにないでしょう」


「ポプルスに言い寄っている女の中に魔女はいなかったやないの、ご主人」


「分かりませんわよぉ。過去にポプルスに振られているかもですわぁ」


「あり得るッス! 逆恨みッス!」


「あるのかなぁ? ポプルスは、私以外の魔女と会ったことがないって言ってたけど」


全員、同じように右側に首を傾げ「うーん」と唸る。


「カーラーさんの次に怪しいと思うのは、ネーロさんだよね。年の功ってだけだけど」


「そうですね。奴隷紋を作られた方ですしね」


「でも、紋が消えないなんて失敗やないの、ご主人」


「私も消えてもいいと思いますわぁ」


「そうッス! 下手くそッス!」


「となると候補から外れるわけでしょ。やっぱりカーラーさんってことになるのかな?」


口を結びながら腕を組み、椅子の背もたれに体を預けた。

シーニーたちは、先程と同じように首を右側に傾けている。


どんなに考えても答えは出ないよねぇ。

ヒントが全く無いんだもん。


魔女相手だと、ランちゃんやブラウに調査を依頼することはできないからなぁ。

だから、結界を強める方法しか思いつかないんだけどさ。


だって、全員に疑ってますアピールをして、一斉に攻められた確実に負けるからね。

ノワールは魔法を効率よく使うためと、誰にも負けないために魔術の研究をしてたから、1対1だと勝てるのよ。

私と混ざったから魔力も増えてるしね。


でも、だからって喧嘩したいわけじゃない。

魔女同士の喧嘩なんて、どれだけの被害が出るんだろうって怖くなる。

それに、ここにはすぐに死んじゃう人間が3人いるから、本当にやめてほしい。

話し合いで解決したい。


重たいため息が漏れてしまう。

調べられるなら、とことん調べて対策を立てたい。


なのに、調査すらできず、シーニーたちと話し合いしかできないのには理由がある。


無駄な争いを避けるための条約として、他の魔女の森に入るためには、そこに住む魔女の許可がないといけないのだ。

そんなことを言ってる場合ではないような気もするが、戦いたくないのだから二の足を踏んでしまうのは仕方がない。


とりあえず、魔女たちが結界を張ってる国を調べてもらおう。

私と違って頻繁に国と関わっているなら、ちょっとした情報を得られるかもだからね。


「私、そろそろクインスに手紙を届けに行ってきますわぁ」


「オレアさんのことが書かれている手紙だよね。何か聞かれたら正直に答えてくれていいからね」


「任せてくださいですわぁ」


手紙をクチバシで挟み、ウインクをしてブラウは窓から飛び立っていった。


「ランちゃんには、全ての国で魔女の噂や変な事件が起こっていないか調べてほしいの。大変だから申し訳ないけどね」


「みんなで調べるから大丈夫やないの、ご主人」


「ありがとう」


ランちゃんは、天井に糸を放った後、前足をフリフリしながら天井に上っていった。


「パランは森の巡回の強化をお願いね。木や魔物でもいいの。異変があったら教えて」


「分かったッス! 任せてほしいッス!」


「シーニーは午後からの授業手伝ってね」


「はい、頑張ります」


椅子から立ち上がり、手を上げて体を伸ばしてから、シーニーとパランと一緒に部屋から出て庭に向かった。




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