3話 「封印解放、そしてテイム?」
森の中、眩い光が消えた。
リク――封印から解き放たれた猿の魔人――は、全身に力をみなぎらせ、胸を張る。
「ふははは! これで俺は完全に自由だ!」
リクは地面を蹴り、腕を振り回して力を確かめる。森の木々が揺れ、枝が折れる音が響く。
紗季は必死で距離を取り、呼吸を整える。
「……あ、あの……私は……」
リクは獰猛な目で紗季を見下ろし、笑った。
「もう、お前なんて……必要ない……かな?」
そして全力で紗季を殴り飛ばした――
バキィッ!ズガァッ!
紗季は驚きで後ずさり、木にぶつかりそうになる。だが、リク自身に衝撃が返る。
「うおっ!? な、なんだこれは!」
痛みによろめき、転がり、尻尾をバタバタさせながら声をあげる。木に頭をぶつけ、床にひっくり返るたび、リアクションは大袈裟そのもの。
紗季は怯えて後退する。
「……あの……大丈夫……ですか……?」
リクは何度も力を試す。殴るたびに痛みが返り、転げ回り、頭を抱え、地面にぶつかりながら叫ぶ。
やがてリクは荒い呼吸を整え、地面に突っ伏しながら、必死で状況を整理する。
「……封印が解かれた時……勝手に縛られていた……? まさか……お前に……俺はテイムされて……?」
目を見開き、膝を抱えて震える。暴虐武人だった彼が、初めて自分の力に制限がかけられたことに青ざめつつ、内心では慌てていた。
それでも表情を引き締め、紗季に悟られないよう強がりながら、声をかける。
「……ま、まあ……封印、解いてくれて……ありがとう」
少し顔を背けて、小声で続ける。
「で……お前は、これからどうするつもりなんだ?」
紗季は戸惑いながらも、少しずつ落ち着きを取り戻す。
リクは痛みに悶えつつも、立ち上がり、目の前の状況を冷静に把握しようとしていた。
森の奥で魔獣が唸る。紗季はまだ戦えない。
リクは力を取り戻したが、縛りのため無茶はできず、紗季の護衛役に徹するしかない。
こうして、暴虐武人リクは初めて痛みに慌てつつも、強がりながら状況を把握し、紗季との対等なバディ関係を自然に受け入れたのだった。




