シークレットダイス~5分で読める頭脳戦~
「なー彦根亮吾、今からギャンブルしようぜ!」
クラスメイトが今日転校してきた僕をカモだと思ったのか早速賭博に誘ってきた。
現在我が国は海外からの財源確保のため賭博を推進しており、学校でも賭博が合法とされている。
そんな状況のため、放課後ともなれば空き教室で賭博が盛んに行われるのだ。
「えっと、君は松平くんだね。どんなギャンブルをするのかな?」
「俺が考えたギャンブル、シークレットダイスはどうだ? ルールも簡単、3人でやるゲームだ。6面ダイスとカップを1人1つ用意する。そして、6面ダイスを他人に見えないように好きな目を上にして置いてカップを被せる。全員がカップを被せ終わったら公開して、3人の出目を合計した値を3で割った値、つまり平均に近かった人の勝ちだ。」
「ルールは理解したよ、賭け金はいくらだい?」
「1回1人5万出しの勝者が総取りでいいかぁ?」
「いいよ、ところで3人でやるって言ってたけどもう1人は誰かな?」
「ちわーす! 神戸っていうんでよろしくっす!」
どこからともなく、ひょっこり神戸が現れた。
まるで登場するときを伺ってたかのようだ。
「3人集まったことだし、さっそく始めますか」
Game1
僕は様子見で4の目をセットした。
「準備できたな。開けるぞ!」
彦根 4 松平 1 神戸 6 平均 3.66
「彦根上手いな! ほら5万だ」
松平は1回程度の負けには動じないほどに余裕である。
Game2
このゲームは平均値に近い人が勝つゲームであり、ランダムに振ったダイスの目の平均値は3.5なので、3又は4をセットするがセオリーである。
よって僕は4をセットする。
「もういいだろ。開けるぞ!」
彦根 4 松平 3 神戸 3 平均3.33
「おっと俺と神戸が同率1位だから、2万5千ずつな」
神戸の目が人を見下す目をしていた。
Game3
ここからみるみる負け始める
彦根 3 松平 4 神戸 4 平均3.66
Game4
彦根 4 松平 3 神戸 3 平均3.33
Game5
彦根 2 松平 4 神戸 4 平均3.33
これでマイナス10万だ
「今日はこのくらいにするか! また明日もやろうぜ!!」
そう言って僕と松平と神戸は連絡先を交換し帰路についた。
翌日、同じギャンブルを行い30万負けた。
その翌日、 50万負けた後のことだ。
「クソ、ラスト! ラスト1回500万で勝負してください!!」
「彦根、負けに負けが込んでついに頭がおかしくなったんか! いいぞ! 神戸もいいな!」
「別にいいっすよ!」
GameXX
僕はそっと1の目をセットした。
「この大勝負、勝っても負けても恨みっこなしな! じゃあ開けるぞ!」
彦根 1 松平 4 神戸 1 平均 2
「なんじゃこりゃ!?」
松平は腰を抜かしながらも神戸をマジマジと見つめていた。『裏切ったなこいつ!』とでも言わんばかりの目をしていた。
「僕がこんな簡単なイカサマに気づかないとでも思ったの?」
「なんだと!?」
「僕は優しいから何が起きたか教えてあげるね。このゲームは2人でグルになると必ず勝てるんだよ。やり方は簡単で2人で同じ目をセットするだけ。例えば3で合わせると、もう1人の目が1だと2.33、2だと2.66、4だと3.33、5だと3.66、6だと4が平均値となり絶対に負けない。だから、僕は神戸にわざと負けたあと大勝負を仕掛けるからその際に裏切ってくれたら後で50万渡すという念書を書いたんだ。それで約束通り裏切ってくれたってわけ。理解出来たかな?」
そう言いながら僕は50万を神戸に渡しながら念書にサインをさせた。
「クソ、今までわざと負けてたって言うのか!!」
「君も最初はわざと負けて相手を勝てると思わせてたじゃないか」
僕の顔がニヤついているのが自分でも分かった。
「そんじゃ、それぞれに250万ずつよろしくっす!」
神戸がこうも綺麗に裏切ってくれると清々しく思える。
「クソがああぁぁぁぁ!」
松平がそう叫びながら500万が床にたたきつけられた。
今回の収支 +110万