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「お前のヒール、気持ちよすぎだろ!」とパーティを追放された。



 宿の一室で、冒険者のダイスケは、パーティリーダーのリングと向かい合っていた。


 リングは真剣な顔で、口を開いた。



リング

「ダイスケ。パーティから抜けて欲しい」


ダイスケ

「えっ? なんで?」


リング

「分からないか?」


ダイスケ

「さっぱりわかんない」


リング

「そうか。ならはっきり言ってやるが……」


リング

「 お 前 の ヒ ー ル 、

  気 持 ち

  よ す ぎ だ ろ ! 」


ダイスケ

「えっ? どういうこと?」


リング

「そのままの意味だ」


リング

「お前にヒールをかけられるとな、とんでもなく気持ちよくなるんだよ」


ダイスケ

「そうだったのか……」


ダイスケ

「道理でみんな、やけにビクンビクンしてると思ったよ」


リング

「やっと理解してくれたか」


ダイスケ

「いや。さっぱりわかんない」


リング

「何がだよ!?」


ダイスケ

「気持ち悪いとかなら分かるけど、気持ち良いんだろ?」


ダイスケ

「なら良いじゃん」


リング

「ダメだ」


ダイスケ

「なんで?」


リング

「物事には、程度ってものが有るんだよ」


リング

「ちょっと気持ち良いくらいなら構わないさ」


リング

「けど、お前のヒールの気持ちよさは、ちょっとってレベルじゃない」


リング

「行動に支障をきたすレベルなんだ」


リング

「お前にヒールをかけられた後、皆の動きが鈍いって思わなかったか?」


ダイスケ

「言われてみれば確かに……」


ダイスケ

「『んほぉぉ!』とか、マヌケな声上げてるなって思ってたよ」


リング

「全部お前のせいだからな?」


ダイスケ

「……そうか」


リング

「そういうわけだから、パーティを抜けて欲しい」


ダイスケ

「リーダーのお前が言うなら仕方ないな」


リング

「分かってくれたか」


ダイスケ

「けどちょっとムカツクな」


リング

「えっ?」



 ダイスケは、リングに手のひらを向けた。



ダイスケ

「エクストラヒール」


リング

「んほおおおおぉぉぉ! らめなのぉぉぉぉ!」



 リングはガクガクと体をふるわせ、床に崩れ落ちた。



ダイスケ

「ふぅースッキリ」



 ダイスケは、こうしてパーティを追放された。


 3日後。


 ダイスケはゴブリン退治の依頼を受け、洞窟を訪れていた。



ダイスケ

「冷静に考えると、ヒーラー1人でゴブリン退治って自殺行為だよな」


ダイスケ

「死ぬかも」


ゴブリン

「ゴブゴブ」


ダイスケ

「こんにちは」


ゴブリン

「ゴブ」



 ゴブリンは棍棒を片手に、ダイスケに襲い掛かってきた。



ダイスケ

「うわっやめて」



 ダイスケは懇願したが、ゴブリンは聞く耳を持たなかった。



ダイスケ

「止めてって言ってるだろ。むかつくなぁ」


ダイスケ

「あっ、そうだ」



 ダイスケは、杖をゴブリンに向けた。



ダイスケ

「エクストラヒール」


ゴブリン

「ゴブウウウウウウウゥゥゥ!」



 ゴブリンは全身をガクガクと震わせ、地面に崩れ落ちた。


 そして、びくびくと震えたまま、立ち上がらなかった。



ダイスケ

「気持ちよすぎるヒールは攻撃にもなるんだな。なるほどなぁ」



 自らのヒールの利点に気付いたダイスケは、無事に依頼をクリアした。


 そして彼は1流の冒険者に……ならなかった。


 ヒーラー1人で冒険者を続けるなど、あんまり良くないからだ。


 彼は癒しのヒール店を開き、その店を繁盛させた。


 その店には、高名なエルフの大魔導士や、邪竜を倒した勇者なども訪れたという。


 めでたしめでたし。



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― 新着の感想 ―
[一言] 追放した側は其れなりのヒーラーを仲間にして其れなりの活躍をしてるのかな?
[良い点] ヒールがすごい快楽になるという発想が面白かったです。 下手すると依存症になりそうですね(笑) 自分の能力を生かし、成功してくれてよかったです。
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