シーン10-2/名誉なき戦い
★先攻陣営のメインプロセス/1ラウンド目
「何はともあれ、まずは支援からね! 陣術展開!」
【魔法行動力】判定に成功し、ディーチェの陣術による支援が戦場に展開される。とはいえ彼女の陣術スキルは、スキルLvが低い。この支援で、どこまで戦況を有利に傾けられるか……。
そんな不安を振り払うように刀を構え、ディーチェに続きメインプロセスに移る。
マイナーアクションで《三景の型》を使用した俺は、攻撃の命中率に関わる【物理行動力】が上昇する「雪の剣閃」を自身に付与する。
敵のHPを削るのがアタッカーの仕事。そのためには、大前提として攻撃を命中させなければならない。
攻撃を回避される可能性がある強敵を相手にした場合、ダメージを伸ばすより攻撃を確実に当てた方が最終的なダメージ量が大きくなりやすいというのは、ブレイズ&マジックに慣れたユーザーなら経験則で理解している事だ。
とはいえ、このまま順当にサムライのサブクラスを成長させていけば、いずれ全ての「剣閃」を同時に付与可能になったりもするのだが。
「まず一撃、確実に当てる!」
続くメジャーアクション。いつも通りスキル《三景の太刀》を発動し、眼前の魔族に斬りかかる。
【物理行動力】判定/難易度:対決
ゼノ:【物理行動力】+2D6+1+2 → 7+8[4、4]+1+2 → 達成値:18
悪くない出目。複数の強化効果をかけている事も相まって、そう簡単に回避できる数値ではない筈だ。
疾風の如き勢いで迫る剣閃を前に、しかしダリルは余裕の表情を保ったまま、回避行動を取らず逆に踏み込んできた。
ダリルの拳が刃を掻い潜り、俺の左頬にめり込む。一方で俺が放った刀も、過たず敵の肩口を斬り裂いた。恐らく、回避を捨てカウンターを放つ《反撃拳》のスキル。
火力増強スキル《バーストフォース》も適用されてのダメージロールが敵の【HP】に損害を与え、カウンターを食らった俺の【HP】にもダメージが適用される。
【HP】計算
ダリル:【HP】80/80 → 【HP】44/80
ゼノ:【HP】76/76 → 【HP】58/76
拳の勢いに押されよろめき後退しながら毒づいた俺の脳裏に、信じられない情報が飛び込んでくる。
【HP】計算
ダリル:【HP】44/80 → 《HP吸収:5》 → 【HP】49/80
「なっ……回復スキル持ちだと!?」
《HP吸収》といえば、敵にダメージを与えた場合に発動可能となるHP回復効果を持つスキルだ。
クマモノを上回る【HP】に、反撃と回復の手段まで持っているとは……一筋縄では行かないと予想してはいたが、やはり魔族だけあって強敵という事だろう。
「気を付けろ! ダメージ受けると回復されるぞ!」
「うっわ、エゲツないわね!?」
「魔族化の前は、そんな技は持っていなかったのに……っ、私も続きます!」
後退した俺と入れ替わるように、ダリルの前へと踏み込むオリエさん。
フェイントを織り交ぜ格闘攻撃を放つ彼女だが、その表情は悲痛に歪み、期待値を下回る達成値から繰り出す拳には勢いがない。
当然その攻撃は苦もなく捌かれ、ダリルにダメージを与えるには至らなかった。
「騎士の誇りとやらは随分と軽いのだなァ、んん? 次はこちらの番だ。纏めて吹き飛ばしてくれる!」
★後攻陣営のメインプロセス/1ラウンド目




