シーン6-3/捜査は足で
「なぜ礼を言われるかは知りませんが……今ならまだ降伏を許します。大人しく聴取に応じるのであれば、これ以上の手荒な真似は控えましょう。どうしますか」
鋭い声音で悪党グループに問いかけるオリエさん。凛々しい顔立ちも合わさって、中々の迫力だ。
ここで相手がギブアップしてくれれば、【HP】や【MP】の消耗を抑えられて色々と楽なのだが……。
「ぐ……ま、まだだ! 人数が減った分、そっちも減らせばいい! やるぞ!」
「おう! あんな美人を2人も侍らせるようなクソ野郎には負けられねぇ! 羨ましくなんかないからな!!!」
「え、いや、別に侍らせてるわけじゃないけど……」
「んだとコラァ! モテ男だから余裕の態度ってか!? 許せねぇ……殺す!」
事実に基づくツッコミも虚しく、戦場に残った悪党DとEは俺に燃え滾る殺意の視線を向けてくる。青の騎士団の捜査だって最初に言わなかったっけ……。
理不尽な怒りに奮起した悪党達は、怨嗟の声で俺を罵り武器を構える。ギブアップは期待できないようだ。
★後攻陣営のメインプロセス/1ラウンド目
「食らえやこのリア充野郎がぁぁぁッ!」
一方的な私怨しか感じられない声と共に、悪党Dが棍棒で殴りかかって来る。命中判定の出目が高いのは、俺に対する殺意か……? 据わった目で正面から突っ込んで来る相手は、正直に言うと少々怖い。
気圧された影響が出目に表れたのか、回避に失敗した俺をディーチェの防御魔法が包み、棍棒の一撃を弾き返す。
「すまんディーチェ、助かる!」
「ふふん、崇め奉りなさい! もう一撃、来てるわよ!」
視線を戻すと、残る悪党Eが鬼気迫る表情で拳を振り上げるところだった。
「美人に心配までされやがってよぉぉぉ!」
「だから違うって言ってんだろ! いい加減にしろよお前ら!?」
理不尽な言いがかりを受け、流石に怒りの1つも湧いてくるというものだ。人の話を聞かない悪党には、お仕置きが必要だろう。
刀を握り直し、クマモノ撃破によるLvアップで取得した新スキルを発動する。
相手の攻撃に呼吸を合わせ、逆に踏み込み間合いを詰める。彼我の勢いがぶつかる点に武器を置いておけば、後は勝手に相手が突っ込んで来るという寸法だ。
回避を捨てた反撃でダメージを与えるスキル《鏡の太刀》の効果が適用され、俺と悪党の双方にダメージが適用される――というところで、再び俺を防御魔法の障壁が包む。
ディーチェが自身のLvアップ時に効果を上昇させた防御魔法《バリアコート》が俺へのダメージを軽減し、その結果。
【HP】計算
ゼノ:【HP】76/76 → 【HP】76/76
悪党E:【HP】25/25 → 【HP】12/25
攻撃を仕掛けた側である悪党のみにダメージが入り、無傷での反撃に成功した俺はバックステップでディーチェの近くまで退く。
「よし、狙い通りの連携だ。合わせてくれてありがとな、ディーチェ」
「お安いご用ってね。さ、戦闘も佳境みたいだし、このまま攻め切るわよ!」
★クリンナッププロセス/1ラウンド目
ラウンド進行継続。




