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ファンブル転生 ~未来の悪役、破滅回避を目指してTRPG世界を冒険する~  作者: イズミユキ
第2話/転生1年目、4の月(光の裏月)上旬/泣く子も笑う山賊団
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シーン4-1/ドルフ村の手伝い

 ドルフ村で一泊した翌日。滞在の条件として提示された手伝いを行なうべく、俺は村を囲む外柵の近くにやって来た。

 聞けば、経年劣化で傷んでいたものを手入れしつつ使っていたが、流石に大規模な建て替えが必要な時期になってきた、という事らしい。村の男衆に加わり資材の運搬などをこなすのが、俺に言い渡された手伝いの内容だ。


「力仕事か……確かにこれは――」


 村の外縁を巡る柵を見渡す。あちこちが風化で崩れかけ、辛うじて柵としての形を保っているのは、補修のため後から打ち付けられた木の板があるからだろう。


「まあ……【肉体】能力値の高いこの身体なら人並み以上に力仕事もこなせるだろうし、大丈夫だろ」


 ちなみに、こういった力の必要な作業に向かないディーチェは村の畑仕事の手伝いに駆り出されている。多少の不安はあるが、昨日も問題なく村の仕事をこなしていた様子だし、流石にいきなり《運命のダイスロール》を振る事も……ないよな?

 内心に広がる不安をぐっと飲み込み、監督役をしている人族の男性から作業の説明を受ける。

 大人数での作業である以上、どうしても進捗に差が出てしまう。俺の役割は作業が遅れているところを手伝い、その遅れを取り戻す事だ。


「よし……頑張るか!」


 自分の頬を両手で挟むように軽く叩き、気合いを入れる。


「おーい、旅人さん! こっちで資材を運ぶの手伝ってくれ!」

「あ、わかりました!」


【肉体】判定/難易度:9

 ゼノ:【肉体】+2D6 → 5+8[出目2、6] → 達成値:13 → 成功


「よいしょ、っと……!」

「おお、凄いな旅人さん! 流石に力持ちだねぇ」

「盛り上がる筋肉に、薄っすらと滲んだ汗……ふぅむ、中々……!」

「この調子なら、すぐに遅れも取り戻せそうだな!」


 村人の感嘆に混じって、なにやらアブナイ気配の声が聞こえた気もするが……今は作業に集中しておこう。考えたら負けだ、うん。

 最初の持ち場で資材の運搬をこなした俺は、続けて現場監督の指示で別の作業場に向かった。


「今度はあっちで廃材の解体を手伝ってもらえるかな」

「了解です」


【器用】判定/難易度:10

 ゼノ:【器用】+2D6 → 6+7[出目3、4] → 達成値:13 → 成功


 (ゼノ)の能力値は【肉体】と【器用】が高め。このくらいの作業であれば、特に危なげなく判定を突破できそうだ。


「旅人の兄ちゃん、手先が器用だねぇ」

「真剣な表情、無骨ながらも細やかに動く指先……ふぅむ、実に……!」

「よっしゃ、こっちの遅れも無事に取り戻せそうだ。ありがとよ!」


 いやさっきから誰だよ、微妙に身の危険を感じるコメントしてるの。

 少しばかりの悪寒を覚えつつ、俺は現場監督に次の指示を求めに向かう。


「監督さん、次はどこを手伝えばいいですか?」

「こんなに早く予定の仕事を片付けてしまうとは……その鍛え上げられた肉体……ふぅむ、悪くない。いやむしろ……いいじゃない……!」

「……ちょっとディーチェの様子を見てきますねーおつかれさまでしたー」


 予定の仕事が終わった以上、長居をする理由もない。むしろ危険しかない。

 そそくさと現場を離れ、ディーチェが手伝っている畑を目指す。なんか……最後の最後にどっと疲れたな……。


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