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GALAXIES BEAST  作者: yukke
EPISODE 4
56/105

7 追っ手から逃げろ

 ミルディアの追っ手は、メールコン大海橋で大暴れしたZ・O・Xだった。空を飛ぶ巨大機体は、それだけで脅威であるが、機体を出撃してしまうと、アルツェイトが手引きしてしまうとバレてしまう。レイラ隊長の出した指示は……。

 ミルディアの巨大機体Z・O・Xが、ミラルド氏の乗る輸送船に迫っている。

 さっきまでは戦闘機で、コルクの狙撃で何とかなっていたけれど、こいつ相手には流石に無理だ。出撃して撃退しないといけないけれど、僕達アルツェイトが関わっていると分かると、戦争が激化しかねない。それでも、ミラルド氏を受け入れると決めたのは、ミルディアの軍情報を持っていると言うことだけど、それがブラフかも知れないとは考えなかったのかな……。


 何て考えるのは後にしよう。今は、あの機体を撤退させないと。


『どうするのじゃ?』


「うぅ~ん……レイラ隊長からの指示は?」


『今の所無いわね。向こうも悩んでいるんじゃない?』


 そうこうしている内に、もう射程圏内に入っているんじゃないかって位に、相手機体に接近されている。既に3機で合体していて、強力な一撃でもお見舞いされそうだよ。


 そんな時、こっちのスピーカーから女性の声が鳴り響いて来る。


『やっほ~アルツェイト軍の人達、隠れてるよね~? マジ無意味だから、出て来なよ~こっちのレーダーは最新だから、丸見えなの~』


「なっ!?」


『落ち着け、コノエ。相手のブラフかも知れんぞ』


 あぁ、なるほど。チャオに言われて、驚いた自分が情けなくなっちゃった。だけど、それがブラフ何かじゃなかったのが、次の相手の行動で示されてしまった。


『ふ~ん。出ないんだ。もう~そこから出なよ~!』


「うわっ!?」


『きゃぁ!?』


『嘘じゃろ?!』


 僕達の乗る輸送船に模した飛行船が、何かの爆撃を受け、大きく傾いてしまった。こっちの機体は電磁ネットに、光学迷彩で隠れている。飛行船も、ただの運送用の輸送船にしか見えないようにした。

 それなのに、攻撃をしてきた。と言うことは、さっきの発言はブラフじゃなかったって事だ。


『っ!! 反撃するわ!』


「待ってコルク。まだレイラ隊長からーー」


『構わん! コノエ出ろ! 2人はコノエのサポートだ!』


 狙撃しようとするコルクを止めたけれど、レイラ隊長から迎撃指示が出たから、これはもうそうせざるを得ないって事だ。いくらバレたくないにしても、こっちが撃墜される事があってはならいんだ。完全に、向こうの方が上手だった。


 だからって、このまま終わらせない。


「コノエ=イーリア出ます!」


 そう言った後に僕は、背中のフライトユニットの具合を確認する。


『こちらツグミです。コノエさんのフライトユニットは、本来アルフさんのナイト・ユニットに取り付ける物でして、ビースト・ユニット用への細かな調整がまだです。飛行戦闘の想定もしていましたので、最終調整はしていますが、ギリギリでした。ですから無理はせず、厳しいと分かれば撤退して下さいね』


「分かってるよ、ツグミさん。そっちも、操縦士に安全運転よろしくって伝えておいて」


『はい!』


 僕達への指示を円滑にするためにって、ツグミさんまで着いて来ちゃっているけれど、こういうのを想定していたのだろうね。

 相手にバレているなら、もう隠れる意味もない。レーダーを使い、他の機体が来ていないか、ツグミさんに探って貰っている。


 あの巨大機体一機だけなら良いけれど、もし他にも来るのなら、レイラ隊長やアルフも出撃しないといけなくなる。ただ、2人の機体はこっちの輸送船なんだけれど、いったいどうするつもりなのだろう? 

 いや、うん。深く考えないでおこう。割りと高度は高いから、スカイダイブみたいにして……とか、考えないでおこう。本当にやりかねないからね。


 とにかく、今の僕の機体には、背中の部分にジェット機の噴出口みたいな物が背負われている。

 この機体の半分位かな? こういうのは小型化するのが大変で、ようやくこのレベルにまで小型化出来たらしい。


 機体の開発と共に進められていたけれど、機体の開発よりもかなり遅れてしまっている。


「んっと……とりあえず、水平機構をオートに、それから……」


 ハッチは開いている。発進しないと、流石にレイラ隊長達の方が危ない。


「くっそ……なるようになれだ! 行くぞ!!」


 そう言ってから僕は機体を発進させ、同時に背中のフライトユニットも起動。そのままバランスを取って、噴出口からジェット気流を発生させる。


「うわったた!! っと、両手両足が浮いている感じが慣れないなぁ! あとなんか、微妙にバランスが取りにくい! やっぱり無茶だったんじゃないの?! これ!」


 旗から見たら、機体が大きな物を背負って発進して来たけれど、バランスを崩してわたわたしている様で、まるで綱渡りをしているような、そんな感じになっているだろうね。


 いや、難しいんだってば! バランス取るの!


「くっそ……これ、マニュアルの方がマシかな? 何となくだけど感覚がある分、オートだと身体が引っ張られている感じがして、変な感じがする」


 一か八かになるけれど、水平機構をマニュアル操作に切り替えて、自力でバランスを取ってみる事にした。

 これは一歩間違えたら、海へと真っ逆さまに落ちる事になるけれど、戦闘機でのシミュレーションはしたから、何とか……あとはまぁ、男だった時にゲームで「エー○・コ○バット」もやってて……いや、それは関係ないか。


「ぬっ、くっ!」


 まだこっちの方がバランスを取りやすかった。ビースト型で何とか姿勢を保ち、そこからヒト型に変形する。ただこの時に、背中のフライトユニットの重さで、変形が失敗しそうになった。そこは何とか、重心を変えたりして変形出来たが、これは問題点だね。このフライトユニットをビースト・ユニットに使うのは、無理かも知れない。


『わぉ。あの時の狐ちゃん? スッゴいの背負ってるね~あと、もう大丈夫かな? 戦って良いのかな?』


 というか、向こうも何で待っていたんだ? 今のうちに輸送船を攻められたのに、何でこっちを待っていたんだ?


『リム、てめぇが言ったんだからな! こっちの方が面白そうってよ!! もし失敗したら、俺達処分されるぞ!』


『落ち着け、ルド。流石にそんな事にまではならない。というか、私達が負ける事はない』


『そう言うこと~だからさ、どうせなら面白い方と戦いたいでしょう~? どうせ勝つんだからさ~』


 う~ん。これは、あれだね。舐められているって感じだったね。

 そう言えばZ・O・Xのパイロット、1人は凄く若い女性だった。兵には見えなかったよ。つまり、策とか何て一切考えていない、その場の勢いと気分で戦っているって事になる。


 それでも、飛んでもない威力を持っているんだ。あれが遊び感覚なら、本当に危険な存在だ。


 だから、ここで僕が止めないといけない。


「そこだ!」


 姿勢を維持出来た僕は、早速中口径のレーザーライフルで、相手機体の翼部分を狙い撃つ。


『あっははは~! 良いよ~ドンドン来なよ~』


 当然避けられる……けれど、こっちには心強いサポートがあるんだよ。


『おぉっ!?』


『ちっ、惜しいわね。コノエ! もっと動きを止めなさいよ!』


『こっちも、空中に機雷を展開したぞ。位置は送ってるから、活用するんじゃ!』


「了解!」


 この一機だけなら、何とか押し留める事は出来るかもしれない。だけど、僕が相手機体に近付きながら撃っている最中、ツグミから通信が入る。


『こちらのレーダーで、相手機後方に新たな機体を感知! 5……いえ、6機です!』


「うっそ……空中戦闘が出来る機体を、更に開発したの?!」


 最悪の展開だ。こっちの方が部が悪いぞ。


『コノエ。ミラルド氏から、接近しているのはミルディアの新型シリーズ「アーチャー・ギア」で間違いないらしい』


 レイラ隊長からそう言われたけれど、そもそもミルディアの軍情報をその人が持っているんだから、その新型の弱点とかも分かるんじゃないかな?


「レイラ隊長。その新型の弱点とかって分かります?!」


『待て。今ミラルド氏が調べている。とにかく私達は、最高速度でここを突破する。メールコン大海橋まで行けば何とかなるはずだ!』


 確かに、あの橋は国境を跨いでいるし、アルツェイト側の大陸に行けば、今度はミルディアの方が国際的に問題になる。


 ただその為には、目の前の機体を撃墜しないといけないんだけどね。


「くっそ……巨大な方だけでも手一杯なのに、何か長距離攻撃が得意そうなのも来てるなんて……」


『そっちは私が何とかするから、コノエは巨大機体の方をやりなさい!』


 そうコルクから言われた後、彼女は何発かライフルを撃ち、向かっている機体に先制攻撃を仕掛けていた。


『本当は先に攻撃したら位置バレするけれど、ビットシステムで弾道を変えているからね。そう直ぐには分からないわ。そうこうしている内に、私が全部撃ち落として上げる』


『落ち着け、コルク。相手も長距離が得意なら、一つの油断で全て終わってしまう』


『むぅ。分かってるわ。あんたは機雷を設置し続けなさいよ』


『分かっとるわ』


 とにかく、2人が新たな新型に対応してくれるみたいだけれど、こっちの巨大機体が2人も狙っている事を忘れないでね。

 相手に迷彩すら見抜かれており、輸送船を襲撃されそうになる。急いで出撃したコノエは、急遽取り付けられたフライト・ユニットの制御に戸惑うが、何とか空中戦を行えるようになった。

 だが驚いた事に、向こうには隊長クラスが居ないことが分かった。これなら何とかなりそうだと、巨大機体を相手にするが、そのパイロット3名から衝撃の事実が告げられた。


次回「8 なり損ないの者達」

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