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GALAXIES BEAST  作者: yukke
EPISODE 4
54/105

5 護衛任務の為に

 カッパーリグンドからの決死の亡命は、既にミルディアの知る所となっていた。しかし、その刺客は倒し、無事に発進出来る事になった。

 一方その頃、コノエ達も護衛任務の為にと、ある場所へと向かっていた。

 ここは、メールコン大海橋のアナスプ大陸側の格納庫。今僕達は、カッパーリグンドからの亡命者、ミラルド氏を護衛する為に、ここに来ている。

 とは言え、ここからはコッソリと行動しないといけない。僕達がアルツェイトの軍人だとバレる訳にもいかないし、堂々とリリア大陸側に向かう訳にもいかない。


 察せられた時点で、即プランBへ移行となる。正直、プランAのままでいきたいところだよ。僕の羞恥心を犠牲にする事になるけどね!


「私の旦那候補だし、そりゃ似合って当然ね~」


「ほらコノエ、恥ずかしがらない」


「い、いいい、いや。そう言ってもぉ!!」


 フリフリの可愛いワンピースに、つばの広い帽子で耳を隠し、尻尾は一部で流行っているケモナー成りきりのアクセサリーっぽく飾り付け。

 チャオとコルクも、尻尾はそういう風にリボンとかで飾り付けている。リボンや飾りがあることで、尻尾のアクセサリーであると証明しているんだ。


 ただ、何故僕だけワンピースなのかは解せない!


「何で2人はラフな格好なのに、僕だけこんな格好なの!!」


「一般人のふりしないといけないでしょ?」


「そうそう。仕方ないわよ」


「チャオもコルクも楽しみたいだけでしょう!!」


 恥ずかしいのと顔が熱くなっているのを我慢しながら、2人に抗議するも、あっけらかんとしているし、何なら追加のアクセサリーまで見繕っている始末だよ。


「うぅぅぅ」


 いや、まぁ……洋服とかを扱う店に入っていったのは、そういう変装をするんだなと思って、何の疑問にも思わなかったけれど、そのまま2人に背後を固められて、ズンズンと更衣室に連れて行かれたのは、流石におかしいと思ったよ。ただまぁ、流石に2対1だと抵抗しても無駄だったね。


 このメールコン大海橋も、先の戦いで割りと被害を受けていたけれど、両大陸の貿易の要と言うことで、割りと復興が早かった。

 今ではこの様に、街は大勢の人達で賑わっている。ただ、先の戦いの事から、少し厳重な警備をされている。道の端を見ると、小銃を持った兵が辺りを警戒していた。


 だからこそ。何だよな。


 このメールコンからアナスプ大陸に入れば、流石にミルディアからの追っても巻けるだろうし、深追いもしないだろう。ここでの戦闘を極力避けたいのは、両軍共に同じだから。


 僕達は、ここから諜報員と合流し、彼等の使っている秘密のルートでカッパーリグンドの近くまで向かう。そこで、無事に発進しているであろう輸送船と合流し、感づかれないようにしながら護衛をする事になる。


 これが、バーモント艦長の出した答え。


 予定どおり、ミラルド氏をアルツェイトで保護する。その護衛の任を、ジ・アークで請け負う事になった。ただ、それはメールコンを抜けてからの話。


 メールコンを抜けてからは、少し遠回りをし、水上軍事基地で休憩する。そこでも、亡命を悟られないようにカモフラージュを仕掛ける。


 出来るだけミルディアには、アルツェイトにミラルド氏が亡命したと知られたくない。その為の策を、色んな所で仕掛ける事になる。


「これで上手くいくのかなぁ……」


 僕達の一般人のふりも、重要な策の一つなんだよね。大丈夫かな……。

 とりあえず、3人で仲良くお買い物をしている風を装ってはいるけれど、諜報員との合流はどうするんだろう?


 そう思っていると、チャオとコルクがある店の前までやって来た。その店から良い匂いが漂っていて、食べ物の店なのは直ぐに分かった。

 そう言えば、そろそろ昼時かな? 食事は移動しながらだと思っていたけれど、まさかここで済ましちゃうのか?


「やぁ、お嬢さん達。焼き立てのパンだよ~良い匂いだろう? お一ついかがかな?」


 そう思っていたら、店内からちょっと背の高めの男性が出て来て、僕達にそう言ってきた。

 コック帽とか白いエプロンがあんまり似合ってないけれど、こういう店の味ってのは、店員の格好とは関係ないしね。焼き立てのパンの匂いが良い香りで、思わずお腹が鳴っちゃった。


「そうね。焼き立てと言ったら、アングルス産のパイ何かも良いわよね。あるかしら?」


 何か突然チャオがそんな事を言ってきたけれど、パン屋だけど、パイ系のものも扱っている店は多い。当然あると思うけれど、特別な産地のものはどうだろう? 無いんじゃないかなぁ。

 何て思っていたら、店員さんの顔がちょっと険しくなったと思ったら、続けて僕達にこう言ってきた。


「当然御座いますとも。通ですねぇ~店内でも召し上がれますよ?」


「そう。それじゃあ、お願い」


 それにチャオが答えて、僕達に目配せをしてきた。何の事か分からないけれど、コルクはちょっと緊張気味になってる。なんで? とりあえず店内に入るか。


「こういうのに疎い方が、逆に助かるわね」


「どういう事?」


 褒めているのか貶しているのか、良く分からない言い方をチャオにされたんだけど、本当にどういう事なのか分からないし、説明して欲しいんだけれど、そのままチャオはサッサッと店内に入ってしまった。続いてコルクも入って行く。

 慌ててその後を追うと、店員さんは何故か奥の部屋へ行くように促していた。あれ? もしかして……。


「……よし。ジ・アークの艦員だな? 念の為、名と階級、所属番号を」


「チャオ=リー=ルーバル、階級は軍曹、番号はーー」


「コルク=パニーニャ、階級はえっと二等兵、番号はーー」


 ちょっと待って。やっぱりこの人が諜報員?! ということは、さっきのチャオとこの人のやり取りは暗号というか、お互いの確認の為の合言葉ですか!?

 それと何気にチャオの階級が僕達より上だったよ。嘘だろう……。


「何ボーッとしているの、コノエ。あなたもよ。というか、今更気が付いたって顔しているわね。相変わらず面白いわね~」


「あわわっ、すいません! えっと、コノエ=イーリア、二等兵です。番号はーー」


 とりあえず慌てて伝えたけれど、諜報員からは「こいつ大丈夫か?」って目を向けられました。そこはチャオとコルクが庇ってくれたから助かったよ。


「どちらにせよ、ジ・アークからの補助兵がこんな少女3人とはね」


「あら、3人ともケモナーよ。一般兵よりも多少戦力になるわ」


「分かっているさ。しかし、今回のは相手が相手だ。しかも、機密情報まで持っている。相手が何か仕掛けない訳が無い。もう少しーー」


「先行して潜入している2人が隊長級だし、問題無いと思うわよ」


「むっ、そうか。それなら良いが」


 何か不満ありげな様子だけれど、既にレイラ隊長とアルフィングが潜入し、護衛の中に紛れているから、僕達はそっちと合流して護衛をしていけば良いだけ。


 ただ言ったように、ミルディアからの追手が無いとは言い切れない。戦闘になった場合、こっちがアルツェイトの軍だとバレないように戦わないといけない。それもまた、難易度が羽上がる要因なんだ。


 それでもやらないといけない。千載一遇のチャンスでもある。


 ミラルド氏が持っている、ミルディアの機密情報。それは新型機の事など、軍に関係する資料だと言われた。そりゃ何としても手に入れたいところだよ。


「ここから車に乗って、国境近くまで向かう。そのルートは、こちらの活動に使うルートだ。あまり言いふらさないようにな。それから輸送船に乗り、穀物の輸送と称して、他国の国境に入る。カッパーリグンドやミルディアの国境からは離れているが、それでも追手の可能性もある。気を抜くなよ」


 そう言って、店内の奥から車庫へと案内され、その車に通された。至って普通の大型の車だ。軍用でも無いから、とりあえず外見で疑われる事は無さそうだ。


 それと、僕達の機体は別ルートで運ばれていて、その輸送船へと積まれている予定だ。機体を用意するのは念の為。襲撃された時の対処に必要なんだけれど、僕達の機体を出した瞬間にバレるから、機体を輸送船に乗せたままの迎撃になる。

 つまり、輸送船の窓とか後部の搬入部分とか、そういう所から射撃するって事だけれど、シミュレーションで練習して思った。めちゃくちゃ難しいし面倒くさい。


 果たして成功するだろうか……。

 こういう任務だとは分かっていたが、それでも女の子らしい格好はまだまだ抵抗があるコノエだった。


 護衛任務は今までのとは違う戦いになりそうで、コノエは少し緊張しながら隊長達と合流する。そして、アルツェイトへと向かい出発するが、追って来た相手側の機体に、飛んでもないものがいた。


次回「6 最凶最悪の追っ手」

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