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GALAXIES BEAST  作者: yukke
PROLOGUE
4/105

4 黒い凶星

実技の訓練も終わり、コノエに対し、同期出来なかった理由を言おうとした時、突然敵国の機体がコノエのいる施設に攻撃を開始した。

目的は何なのか……それも分からぬまま、教官に言われるまま逃げようとしたコノエだったが、爆撃により、シェルターへの道を閉ざされてしまう。別の場所に逃げたコノエは、見たことないビースト・ユニットを見つける。


一方、迎撃に出たレイラはーー

 残った整備の者達が、慌ただしく格納庫を動く。

 残っているのはこの1機のみ。他は、点検中等で直ぐには動かせない。


「レイラ少尉。これには本当に、僅かな兵装しかーー」


「構わないと言っている。動かせて撃てるものがあれば、何だって構わん!」


 訓練用の狐型のビースト・ユニットに乗り込み、コクピット内計器類、スイッチ、レバーの可動等を確認し、彼女はそれを起動した。


「自分とは違うタイプとはいえ、同じ犬科だ。何とかなるだろう」


 ケモナーは基本、自分の素体となった獣と同じタイプのユニットの方が、より柔軟で軽快に動かせる。全く動かせないわけではないが、同調するのにかなりの遅れは出る。


「……よし」


 それでも、レイラは迷うことなく、何の不具合もないように、訓練用のユニットと同期した。

 そして、目の前の大きなモニターに景色が映り、手元の小さなモニターには起動完了の文字と、エネルギー残量、機体の駆動状況等が示された。


「良いか。私が出たら、訓練兵達の避難をーー」


 そうレイラが言いかけた瞬間、一番聞きたくなかった言葉を言われる。


「それが……訓練兵も、何人か……いや、半数以上がーー」


「……もういい。分かった。あいつらもまた、兵である。だから、こうなるのは覚悟の上だろう……上だろうがーー」


 それでも許されないものは許されない。


 レイラの中に、ふつふつと怒りが沸いてくる。


 狙いは分かっている。“あの機体”を狙っているはずだ。それは、シェルターとは逆の場所に保管されている。

 そこにも数名、敵兵が向かっていったのは見えていた。つまり、隠し場所すらバレている。それが意味するのはーー


「リークされたか……スパイ……いや、単純に買収か?」


 そのついでに、敵国の戦力を少しでも削る為、ここの訓練兵も狙った。


「あぁ、許せるか!! ……許せるものか!!」


 全ての機器も、機体も異常がない事を確認したレイラは、格納庫の扉を肩のレーザライフルで撃ち破り、グラウンドへと飛び出した。


「貴様等ぁぁあ!!!!」


「うわっ! なんだ! ビースト・ユニットが!」


「落ち着け! ただの訓練用だ! 武装はほぼ無い!」


 四角い姿をしたヒト型の相手機、どれも一般兵なのだが、指揮している者は必ずいる。そうでなければ、こうもスムーズにシェルター付近と、例の機体のある保管庫付近を狙えるものか。


「訓練用のそれで何が出来る! とっとと落ちろ!」


「ふっ、訓練用、か」


 相手機が、手に持った中口径レーザーライフルを、レイラに向けて撃ってくる……が、レイラはそれを軽く躱し、手足に付いたターボエンジンを軽く噴出、推進力を得て、軽く浮上した状態で、まるでスケートで滑るかのような動きで相手機に接近した。


「訓練用だろうと、乗っている者によっては、驚異になりえる。覚えておくがいい、若造」


「ひっ、なっ!? うわぁぁあ!!」


 そして、腕に取り付けられているダガーナイフで、相手機の胸元、コクピット部分を貫いた。

 その瞬間、中に乗っているパイロットが悲鳴を上げ、レイラが離れた瞬間に、その機体はくず折れた。


「くっそ……!!」


「遅い!」


 次いでもう1機が、手の甲に取り付けられたバルカンを撃ってくるも、それもレイラは難なく躱し、相手の背後に回り込むと、肩に付いたレーザーライフルで後ろから撃ち貫く。


 その1機は大きな爆発を起こし、上体が全て吹き飛び倒れた。


「……まだ数機いる。隊長機はーーっ!?」


 近くに居た敵は倒した。


 次は……というよりも、さっさと隊長機を狙おうと、レイラが辺りを確認しようとした瞬間、背中からえもいわれぬような嫌な汗をかき、悪寒を感じた。その瞬間、レイラはその場から離れた。


「ーーーー!?」


 しかし、次にレイラを襲ったのは、強い衝撃と、激しい爆発音だった。機体は激しく揺れ、体勢を立て直さねばならない。


「…………くっ!!」


 何とか踏ん張り、転倒は防いだものの、目の前にはあり得ない機体が立っていた。


「黒い……ハコ機。その厳つい武装の数々は……黒い凶星、オルグか」


「いやはや。ただの訓練用の機体で、こちらの隊の2人もやらないで頂きたいものだ。一般兵とは言え、ただ乗せているだけではないのだぞ」


「訓練が足りんのではないのか? 呆気ないぞ」


「困ったものだ。レイラ少尉。君が相手では、大隊を組んでも勝てやしない」


「だから、お前が来た。私が居ることを知っている。つまり、こちらの情報は完全に漏れているわけだ」


「時代は情報だからね」


 先ほど着弾し、爆発したであろうその場所で、悠々と立つその姿は、レイラが相手でも引けを取らない。

 相手の隊長機は、敵国の主力とも言うべく人物が乗っていたからだ。


「幾度、交えたかね。レイラ少尉。そろそろご退場願いたい」


「ふざけるな。それはこちらの台詞だ! その黒いハコ機。その姿の通り、お前の棺桶にしてやるよ」


「勘弁してくれ。それと、この機体は『ケプラー』だ。そんな名で呼んでくれるな」


 すると、黒い相手の機体が、本来のデコ機には取り付けられていない、背中から突き出た超強力なブーストユニットで加速し、レイラの機体へと突撃する。手に黒と赤の混じった光を放つ、ビームサーベルを振りかざして。


「ふんっ!」


 それを、レイラは尻尾で受け止めた。


「受け止めないで貰いたい。最新のビームサーベルだぞ」


「芯があれば、どんな物でも受け止められる! そらよ!」


「ぬうっ!!」


 その後、相手の黒い機体を吹き飛ばし、今度はレイラがレーザーライフルを撃ちはなった。


「ふむ。やはり強い。訓練用でそこまで動けるのか」


 だがそれは、相手機の手の甲にあるシールドで払われた。


「そりゃここまで出来なければ、教えることなんて出来ないだろう」


 そして、レイラは両手に握ったレバーの左側、そこにあったもう一つのレバーを引き、コクピットを縦に動かしていく。

 それは外から見ると、4足のビースト・ユニットが、細身のヒト型の機体へと変形していた。


「訓練用で獣型では分が悪い。さすがにこちらでいかなければな」


「やれやれ。もう勝つつもりか? 止めて貰おうか、その自慢気な態度は」


「そうかい。私からも言わせて貰うよ。気取った感じで、鼻につくんだよ」


 そしてお互いにサーベルを構え、その後は何も言わずに刃を交えた。次いで、相手機はライフル銃で、レイラは肩のレーザーライフルで相手を撃つ。

 それを同時に下がって避けた後、また前に出てサーベルを交える。


 激しい火花と銃撃が続き、お互いの実力が拮抗しているのは、誰が見ても明らかだった。


「ちっ!! その少しの武装で、良くこの私と対等に……!」


「おいおい、こんなので拮抗するなよ。私の本来の機体じゃ、お前はもう終わっているぞ」


 レイラが言った瞬間、相手機の背中からバズーカ砲が出てきて、その肩に備え付けられると、そこからビームバズーカ砲が打ち出された。


「……っ!!」


「実はエネルギーを貯めていたのだが……それも避けるだろう。そこをーー」


 レイラがその攻撃を何とか避け、よろけてバランスが崩れた所を、相手機が狙う。がーー


「ぁぁあああ!!!! そんな……! 隊長! すみません!」


「ん?」


 新たな爆発と共に、敵部隊の1人が叫んだ。

 その先には、厳重に保管し、隠されているであろう、あの機体のある方向だ。


 レイラも、そして相手機もそちらを向く。するとーー


「なにっ!? 誰だ! アレを動かしたバカは!」


「あれは……! 間違いない、起動している?!」


 煙の中から、白を基調に赤いラインの入った、狐型のビースト・ユニットが起動し、敵部隊のハコ機を足蹴にしていた。

敵エース級パイロット、オルグと拮抗しながら戦うレイラ。実力は互角に見え、どちらもまだ探り合っているような状態。そんな時、どこからかビースト・ユニットが飛んできて、相手を足蹴にしていた。それは、レイラにとってはあり得ない事だった。


一方、敵兵から逃げていたコノエは、保管されていたビースト・ユニットに乗り、何とか逃げようと起動をさせる。同期が出来るか不安だったが、なんとーー


次回「5 シナプス起動」

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― 新着の感想 ―
[一言] 黒い凶星って可視光の中で1番波長の長い色の彗星のシヤアのオマージュだよね?機動戦士装甲ガンダニウムとかいうよくわからない鉱石製巨大ロボットにTS狐娘を混ぜたオマージュの匂いがぷんぷんするぜ
2021/12/16 16:49 退会済み
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