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GALAXIES BEAST  作者: yukke
EPISODE 2
32/105

9 ミルディアの新機体

ラリ国とイナンアからの申し出により、一旦ミルディア皇国撃退に協力する事にしたコノエ達だが、両国への警戒は解かずに対応する事にした。

 話し合いが終わった後、僕達は軍艦に戻り、ラリ国から指示された場所で、ミルディアを迎え撃つ準備をした。


 アルフはナイトの機体で、僕とチャオはビースト・ユニットに乗り、海橋の端へとやって来た。

 こっちはリリア大陸側で、砂漠を越えた先、大きな川を渡った所に、ミルディア皇国があるらしい。


 丘陵と荒野の広がる場所で、一際大きな都市が現れるらしく、夜に煌々と輝く街の姿は、その都市がどれだけ栄えているかが分かるらしい。もちろん、ミルディアの都市の1つで、首都はもっと緑豊かだとか。


 それにしても。


「ゲリラ兵と並んでいるというのが、どうにも落ち着かないんだけど」


『そう言うな。ミルディアの部隊を追い払ったら、直ぐに基地へと戻る。それまでの辛抱だ。帰ったら、ちゃんと私の熱いハグをーー』


「とりあえず戦闘前なので、ふざけないようにしましょう」


『はい』


 あなた一応隊長だからね、全く。流石のチャオも呆れているかと思ったけれど、案外そうじゃなかった。いつものアルフの口説きなのが分かっていて、ちゃんと僕を守ろうとして、引っ付いてくれている。けれど、ちょっと引っ付き過ぎ。こっちもこっちで……。


 ゲリラ兵達もニタニタしたような感じで、僕達に話しかけてくるし。


『よぉ~ケモナー様よ。今回は味方っぽいが、味方ならちゃ~んと人様のケアもしろよ~』

『ペットらしく、キャンキャン言って尻尾振って慰めろよ~』

『そりゃ犬だろう~! それでも、夜にちゃぁんとご奉仕して、人間様を癒せよな~!』

『そうだそうだ! それがケモナーの仕事だろう~!』

『尻尾がなんだつ~んだよ。フリフリ振って、従順さを示すためだろうが!』


 もうゲス過ぎて話す気にもならないや。こんなのがあちこちで暴れているんだから、そりゃ住んでいる人からしたら怖いよな。

 しかも、こんな奴等でも大義があるようで、信仰している神様の手前、同じ人種の人達は同志として敬うが、僕達みたいな外の国の者達には、異端者として扱い、こうやって人では無いという扱いをしてくる。


『2人とも、言ったように俺から離れるなよ。戦闘中、どんな言い訳ややり口を使って、君達2人を捕縛してくるか分からない。そうなったら、どんな扱いをされるか』


「分かった」


『当然じゃな。今回は共通の敵が来るだけで、それを退けるのみ。ただ、その後は知らんがのぉ』


 チャオは女帝モードで、ちょっとたくましいな。こういう時は頼れる。


 さて、そんなゲリラ兵の部隊が、僕達の前に展開していて、先に突撃していくそうだ。血の気が多いからという理由らしい。

 僕達はそれを見て、各個撃破していく。ただし、敵は新型を投入してくる可能性があるから、油断はしないようにと、カッツァー大佐が言っていた。


 そして、作戦を確認し終え、しばらく時間が経った後、ゲスい事を言ってくるゲリラ兵達が、突然騒ぎだした。


『来た、来たぞぉ!!』


 同時に、リリア大陸の方から戦闘音が聞こえ始める。始まったか。


 僕達は今回、念のためにと、他の部隊を軍艦に置いて来た。これは、アルフの指示だ。ラリ国とイナンアのゲリラがこっちに銃を向けてきた時、直ぐに対抗し、戦えるようにするため。


 つまり、ここでこうやって戦いに参加するのは、僕とアルフとチャオだけだ。だから、3人で1つに動き、絶対に離れない。離れたら最期だと思わないと。


『やれやれ。やはりそう来たか』


 そんな中、黒いハコ機がゲリラ兵達の機体を次々となぎ倒し、僕達の前へと現れた。


『お出ましか。黒い凶星オルグ。っとぉ、既に目の前のゲリラ兵は全滅かい』


 オルグは挨拶代わりに、アルフに向かってビームサーベルを振り下ろし、アルフはそれを盾で受け止めた。


『所詮寄せ集めだ。訓練もされず、ただ銃を渡された子供と同じさ。そして君達は、本国からの指示で、そちらについたようだな。だがしかし、背中には気を付けないといけないから、その3機のみか。よくラリ国が了承したものだ』


『言ってないからな』


『ほぉ。そちらも、なかなかの策士のようで』


『お褒めの言葉、ありがとよ!』


 話し合いがら撃ち合って、サーベルで切り合ってる。なにあの2人は。


 それより、こっちも撃たないと。


「そこ!」


『おっと、甘いのぉ!』


 真横から迫っていた、ミルディアのハコ機を肩のレーザーライフルで撃ち、その足を破壊すると、僕は次の機体目掛けて、内蔵された大口径バルカンを撃つ。

 チャオの方は、鉄球で相手機体を潰し、パイロットごと爆破させていた。やっぱりこの子も。


『なんでやらんのじゃ?』


「それは、その。まだ覚悟が」


『そんなのは今せい!』


 分かっている。ただ、相手にも家族がいると思うと、やっぱりどうしても。


「おっと!!」


 相手のハコ機が迫ってきて、僕に攻撃をしてくるけれど、それは直ぐに避け、腕のブレードで両足を切り裂いてダウンさせた。


『甘いのぉ。それはいつか、後悔することになるぞ!』


「確かにね。命の取り合いだもん。アルフだってチャオだって真剣だ。だから、僕もやらないとって思うけど!」


 そんな時、ゲリラ兵達が負けじと突っ込んで行く中、更に大きな爆発が起き、僕達の周りにいたゲリラ兵の機体は残らず爆破された。


「なっ!!」


『なんじゃなんじゃ!! というか、ミルディアの味方機も巻き込まれているぞ! なんの爆発じゃ!』


『いくらミルディアでも、あれだけの数のゲリラを倒すのは、骨が折れるはず。あんな一瞬では!』


 よく見たら確かに、味方であるはずのミルディアのハコ機まで巻き込まれ、結構な数を失っていた。どういうことだろう。


『何をしているんだい? 味方まで盛大に巻き込んでいるぞ』


『え~? だって、チョ~邪魔だも~ん♪』


 なんか、僕が聞いた事あるような、そんな言葉遣いが聞こえたんだけど。一番苦手なギャルって人種。こんな世界でもいるのかよ。


 そう思って、爆発した先を見てみると、ビースト・ユニットやハコ機よりも大きな、正に戦闘用ロボットみたいな、大きな機体が現れた。


『あれが、ミルディアの新たな機体か?! いやいや、どうなっているんだ。あの大きさは!』


 アルフが驚いた声を出すと、今度はオルグの方がそれに返答をしてきた。


『我が国自慢の、ガンマ社の新機体だ。今見えている、戦車みたいな機体が、X・レダーク。空を飛ぶのがO・ジェッター。そして、後ろの非変形ヒト型の機体が、Z・レジェンダーだ』


 とりあえず、僕としてはなんと言うか、正義の戦隊ヒーローものの、最後に出て来て巨大怪獣と戦う、あの戦闘ロボットそのものな気がして仕方がないんだけど。機体の格好も、そのまんまそれ。


「あっちが敵だよな。な~んで、正義の味方みたいなのが。いや、乗っている奴は普通じゃなさそうだけど」


『テンションアゲアゲ最高潮~!! 私をキュン出来る奴っているのぉ?! もうマジ乙なんだけど~!?』


「なんか古いんだよな! 使ってるギャル語が!」


 しかも、足は確かに戦車みたいなキャタピラーなんだけど、上はヒト型の機体で、色んな武装が付いているから、どこのタンクだって思っちゃうよ。問題は上を飛んでいる奴からの攻撃と、その後ろの奴だ。


「うぉっと!! くそ! チャオ! あいつらヤバい!」


『言われなくても分かっとるわ!』


 レダークとかいう方は、とりあえずロングレンジ砲でお構い無く撃って、足のキャタピラーからもミサイルがバンバン飛んでくる、重火力だ。

 そして空のジェッターの方は、大きなジャット機のような姿をして、対地ミサイルを降り落としてくる。背中の大きな翼は、以前岩礁を突破する時に見た、あの不思議な機体にそっくりだけど、こっちの方がより効果的になっていて、背中にピッタリと翼が付いている。


 更にヤバかったのがレジェンダーの方で、両腕を伸ばした瞬間、その腕から変な可視光線みたいなものが発射され、次々と機体を蒸発させていってしまった。


 あれは、特にヤバい兵器を使っている。嘘だろう。


「アルフ。撤退した方がいい気がする。これ、ミルディアの方が押してる」


『そのようだな。こいつが逃がしてくれたら、だけどな』


 そんなアルフの前では、黒い凶星のオルグが立ち塞がっている。確かにこれでは、八方塞がりだ。


 もう既に、ラリ国とイナンアのゲリラ部隊の3分の1は、あの奇っ怪な3体の機体にやられていて、辺りもとっくに炎に包まれていた。

ミルディアの飛んでもない新機体により、戦場はあっという間に火の海と化した。

大量の敵機を相手に、苦戦を強いられるコノエ達。何とか突破口を見出だそうとするが……。


次回 「10 変形合体!!」

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