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GALAXIES BEAST  作者: yukke
EPISODE 2
24/105

1 シナプスの新武装

 それから、機体修理や戦艦修理は続き、既に1ヶ月が過ぎていた。穏やかな日が続き、合間にしっかりと訓練を行って、もっと機体を扱えるように頑張っていた。


『そこまで!!』


「ぬわぁ~ダメだった~! 勝てない~!」


「はっはっは。いやしかし、最初から筋は良かったし、私とシミュレーションで戦って、もう引き分けまで持ち込めるようになるとはね」


 そして、レイラ隊長とコルクの怪我が治るまで、僕はアルフィングと一緒に訓練していた。

 いや、こいつしか居ないんだよ。他の人達とやったら、1分も持たずに僕が勝っちゃう。こんな機体なんて、前の身体でも扱った事はない。言ったように、ゲームくらいでしか。

 それが、ケモナーの力なのかどうかは知らないが、僕と対等に戦えるのがアルフィングだけだった。もちろん、あのチャオって人ともやりたかったけれど、何故か断られる。


「ふ~ん。徐々に良くなってる。なるほどねぇ」


 それなのに、毎回シミュレーションを覗きに来て、こうやって見学していくんだよなぁ。


「あのさ、チャオさん。アルフとばっかりだと、色んな戦闘パターンが取れないし、何より同じケモナーとも訓練したいんだけど」


「アルフの事、呼び捨てね~仲良いじゃん」


「んなっ!? ちがっ! あいつが!」


「まぁ、私もそう言われたし、皆そうなっちゃってる。だから、私もチャオで良いわよ」


 何で慌てるのやら。アルフィングはアルフィングで、ニコニコとしやがって。


「ふんっ!」


「おふっ! 肘打ちみぞおち……おぉぉぅ」


 いちいち僕とシミュレーションすると、こいつは嬉しそうにしているんだよ。デートじゃないからな。


 ◇ ◇ ◇


 それから、機体の整備兵の人に呼ばれた僕は、格納庫の方へと向かった。

 僕の機体はそれほどのダメージは無く、コクピット周りと脚の交換。あとは武装の取り換えに、破損部の修理くらいだった。それと、DEEPの使い過ぎで、電気系統がショートしかけていたらしい。ただそこは、コート先生の協力で、大幅に起動時間を上げてくれた。それが一番不安だけど。


「失礼しま~す」


「おぉ! 来たか! まぁ先ずは見てくれ!」


 オイルだらけの整備兵と、そのオイルの臭いの漂う格納庫の中では、まだ他の機体の作業も行われていたけれど、目の前には僕が乗っているシナプスがあった。


 そして体格の良い、正にロボットメンテナンスの為に産まれて来ましたって言わんばかりの、大柄の男性が僕を見て、嬉しそうな顔でそう言ってきた。

 確かにロボットは男のロマンだし、改良してより理想的な機体になれば、胸踊るだろうね。


 さて、そのシナプスなんだけど。


「あのぉ、背中……」


 大きく変わったのは背中に乗っている、大きなパイルバンカーのような、金属の槍だった。

 あと、肩周りがちょっとサイズアップしているし、尻尾にも細工されていそう。


「おぉ、そうさ! あれこそ、シナプスにしか出来ない、ワイヤー付きのランスバンカー『ジュナクト』だ!」


「名前は適当ですよね?」


「おぅよ!」


 どっちにしても、機動力が落ちそうだよ。立ち回りの仕方は増えそうだけどね。


「あれ、機動力落ちる」


「それが、あれは機体にも使われている、超軽量混合合金でな。配分を少し変え、強度を上げながらに軽さも実現しているのさ!」


「なるほどね~」


 この世界は、僕の居た世界とは遥かに違っていて、技術面はかなり進化している。

 宇宙で新たに見つかった新金属。それを研究、実用化していて、機体の製作から日常生活の道具まで、幅広く活用されていた。


 何せ、混ぜる金属の配分を変えると、強度や重さが変わる、とても変わった金属を沢山発見しているからな。お陰でこんな事まで出来るわけだ。


「それと、ビースト・ユニットには珍しい、近・中距離戦用に、色々と武装を追加しているぜ。大型のバルカンに、電磁ブレード等、様々な戦闘でも対応出来るぜ!」


「あはは。ありがとうございます」


 使うのが女の子だってことを、もう少し考えて……って、僕は男だった。


「どうした?」


「何でもないです」


 壁に向かって、自分は男だって言い聞かせている所だから。


 恐ろしい事に、最近この身体に精神が引っ張られていて、女の子であることをすんなりと受け入れそうになっているんだ。なんなら、今朝化粧をしようとしてしまったんだよ。ヤバい、これは本当にヤバい。


「なるほど。コノエはこれで、また出撃が出来るわけか。試したいか?」


 すると、僕の横にレイラ隊長が現れ、僕の機体を見上げながら言ってきた。ちなみに、怪我は全快している。

 流石は未来の技術で、医療も物凄く発達していた。骨折くらいなら、程度にもよるが1週間程度で治る。病気に関しては、癌を克服していました。信じられないけれど、それだけの時間が経っているって訳だ。


 コルクの方も、両足の骨折と、内蔵をいくつか損傷していたけれど、3週間程で全快していた。

 だから、2人ともチャオとは会っていて、挨拶は済ませている。


「う~わ。なんというか、男の好きそうな機体ね~扱うの大変そう~」


 気が付いたら、コルクもやって来ていて、シナプスの姿を見てそう言ってきた。


「う~ん、そうだけど。ヒト型の時のジュナクトの位置が良ければ」


「おぅ。腰の辺りだ。片腕で抱えるように支えて、踏ん張って打てばいい」


「……う~ん」


 それはそれで物凄く隙が出来るんじゃないかな。とりあえず、シミュレーションで練習しておきたい。


「レイラ隊長とコルクのはまだ修理中だっけ?」


「そうだな。まぁ、何か改良も加えているみたいだが、シミュレーションならチャオとやればどうだ?」


 そうレイラ隊長が言った瞬間、同じようにその場にいたチャオが、とても嫌そうな顔をした。なんでだよ。


「ちょっと、何で嫌がるの? 同じ軍に居るのなら、いつか共闘もあるだろうし、連携取るにもさ」


「分かってる。分かってるわよ! でもね……聞いているでしょ? 私が何のケモナーか」


「あ、うん。パンダだっけ? それが?」


 もしかして、それを気にしているとか? トラウマとかあるなら、無理矢理なのも良くないし。


「パンダ。可愛いけれど、デカイし力もあるじゃん。そんなケモナーの機体ってなるとね、パワータイプなの。私は技のタイプよ! 力でゴリ押しなんて、美学に反しーーって、ちょっと! 何で引っ張ってくの!」


「いやぁ~その程度なら、シミュレーションに付き合ってもらおうかな~って思って」


「その程度ってなによ! その程度って!!」


 どうでも良い事で拒否っていたから、チャオの腕を掴んで引っ張っていっているよ。

 言ってみれば、同じキャラを選べないゲームで、友達が自分の好きなタイプのキャラを使われ、こっちはパワータイプのキャラしか残っていない時の、拗ねてしまった友達みたいな感じだ。


 こういう時は……。


「あのさ、文句を言ってもそれしかないんだから、その機体で技術的な戦闘の仕方をしてみたら?」


 そういうキャラでもちょっとした連携技があって、意外とパワーよりも小手先で戦える事があるっていうことを、しっかりと教えてあげれば良い。


 何も戦闘は、技術だけじゃない、パワーだけじゃない。バランスなんだよ。


「……あなたにそんな戦闘のレクチャーなんて出来るわけ?」


「そこはレイラ隊長に見てもらうよ。良いですか? レイラ隊長」


「あぁ、構わないぞ。チャオ、嫌がってばかりではなく、その機体で君がやりたいことをやってみろ」


「……はぁい」


 これでも、その身体になる前は僕より歳上だったんだよな。信じられないな。

 身体に引っ張られて、心までその年頃の女の子みたいな反応をするんだな。僕も気を付けないと。


「お、シミュレーションか? 頑張れよ、コノエ」


 前からアルフィングがやって来て、普通に僕の頭を撫でてきたよ。流れでやられたから、拒否する暇もなかった。

 全く。会うたびに頭を撫でて来て、そんなので僕が堕ちたりなんてしないよ。もっとこう、嬉しくなるような事をさーーって、何て事を考えているんだ!!


「コノエ。あいつならやるぞ。ただ、男を見る目がーー」


「違う違う違う!! 頭なんて撫でられた事ないから、びっくりしているだけ!」


 それを見たレイラ隊長が、僕に向かってとんでもないことを言ってきたよ。断じてそれはあり得ないから。

武装新たに、シナプスが復活した。

新たな武装を試すためにと、チャオにシミュレーションでの練習を提案するが、渋られてしまう。それでも、同じケモナーとの訓練も重要と、半ば 無理やりシミュレーションに向かわせたが……。


次回 「2 女帝チャオ」

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― 新着の感想 ―
[一言] パンダの主食って笹だと思ってる人が多いけど実は肉食。 野生だと獲物が狩れず他の動物の食べ残しを探すけど簡単に見つかる訳もないから生き延びる為に【仕方なく】笹を食べてるんだそう。
2021/12/17 07:08 退会済み
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