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私のカレはお父さん  作者: 烏川 ハル


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3/3

後編「料理」

   

 そして、次の週末の午後。

「ここでニンニクを加えるのがポイントね。ほら、これくらい。ほんの少し」

「あっ、ニンニクなんて入ってたんですか! 気づかなかった……。そうですよね、隠れてるからこそ、隠し味。気づかなくて当たり前か……」

「うーん、この場合は隠し味というより、臭みを消すため、という感じかな? だから隠し味にすらならない分量で……」

 いつものヒヨコ柄のエプロンをつけた母と、初めて見るエプロン姿の竜司。茶色のチェック模様で、彼が家から持参してきたものだ。

 仲良く並んで料理している様子を、私はキッチンのテーブルから、ボーッと眺めていた。

 母はキャッキャッと嬉しそうだし、竜司も楽しそうだ。親しく寄り添う二人に対して、彼の交際相手である私は、嫉妬するべきなのかもしれないが……。

 不思議と、そんな気持ちは湧いてこなかった。二人の良い雰囲気を、むしろ微笑ましく見守ってしまう。

 二人並んだ後ろ姿はピッタリはまった感じがあり、私の心の中でも妙にしっくりきていた。

「いっそママと竜司がくっついちゃえばいいのに」

 二人には聞こえない程度の小声で、ボソッと呟く私。

 それは無意識のうちに出た言葉であり、私自身、驚いてしまう。

 同時に。

 ようやく一つの真実を悟ったような気にもなっていた。

 竜司に対する、私の本当の気持ち。以前にニックネームを決めようとして、『お父さん』と呼びたくなった理由。

「ああ、そうか。私、パパが欲しかったのか……」

 幸い私と竜司は、付き合っているとはいえ、唇と唇が触れ合う程度のキスまで、という関係だから……。

 今なら、まだ間に合うかな?




(「私のカレはお父さん」完)

   

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