急な対戦?
僕は渚沙と山田生徒会長との3人でゲーム部の部室に移動する。
ゲーム部の部室には沢山の種類のゲーム機と山ほどのゲームカセットが置いてあった。
ゲーム部会長の佐山菜月さんは快く部室を提供してくれた。
山田生徒会長と佐山さんは幼馴染みらしく、よく部室で[聖拳]をプレイしていたみたいだ。
山田生徒会長は申し訳なさそうに言った。
「北村渚沙さん、急なゲームの誘いに乗ってくれてありがとう」
渚沙は戸惑っていた。
「何故、私が[聖拳]をプレイしているのを知っているのですか?」
ゲーム部会長の佐山さんは自慢げに言い出した。
「渚沙さん、丁度3ヶ月前に[girlstour]って[聖拳]の女子大会の優勝者でしょ?」
渚沙は顔つきが変わった。
「何故、知っているのですか?」
「私も出たのよ、その大会。私はBest16で負けちゃったけどね」
「それで、山田に教えたのよ」
山田生徒会長はその話を聞いてすぐに渚沙に声をかけたらしい。
理解した渚沙は笑顔で答えた。
「分かりました。しましょうか……[聖拳]」
そしてファイターを選択して闘いが始まった。
渚沙は以前に僕と対戦した時同様に[キャロン]を選択する。
山田生徒会長は[ケイン]というファイターを選択した。
[ケイン]の特徴としては、全てにおいて普通な所だ。
コマンド自体もシンプルでスピードも普通で中距離技も持っている。
攻撃力、攻撃速度もバランスが良く平均的だ。
普通だからこそどの間合いになっても弱くはない。
ファイター選択を終えて闘いが始まった。
出だしはお互いに中距離技を出し合い様子を見合い、互いにspゲージを順調にためていく。
闘いが始まって20秒経ち山田生徒会長が間合いを詰めてきた。
渚沙は何かをすると思いガードしたが山田生徒会長はそれを読み、投げ技を出してきた。
掴みはガードに対して唯一ダメージを与える事ができる。
それからも山田生徒会長は近距離戦を続けてきた。
だが渚沙も反撃を始める。
[キャロン]は動きが早くて攻撃速度も早く、手数で攻めるファイターだ。
渚沙は相手の動きに合わせてダメージの大きいコンボを決めた。
山田生徒会長は負けじと投げ技を使ってくる。
だが渚沙は投げ技を使ってくるのを読んでいた。
間合いを取って投げ技を透かし、投げ技の後隙に[キャロン]の中でも1番ダメージのデカいコンボを決めてHPを削りきった。
1ラウンド目は渚沙が取ったのだった。