お互い譲らぬ激闘
2ラウンド目が始まる……。
前回同様に中距離技で牽制し合う形になり、互いにガードでspゲージをためていく。
先に動いたのは渚沙だった。
一気に間合いを詰めて、ダメージは少ないがヒット数の多いコンボを決めた。
更に追撃で相手がダウンしている時にしか使えないコンボまで繋げて、順調にダメージを積み重ねる。
2ラウンド目も渚沙が取ると思っていた。
だがここで[ケイン]のspゲージがたまり必殺技を使用する。
[ケイン]の必殺技は一定時間、コンボをした時のダメージが2倍になり、相手のspゲージを0にする。
渚沙は必殺技なんて気にしないと言わんばかりに攻撃を出していく。
山田生徒会長は[キャロン]の攻撃の中で最も後隙がでる攻撃を待っていた。
すると渚沙にミスが出てしまい、山田生徒会長はそのミスを逃さなかった。
[ケイン]の出せる最大火力のコンボを攻撃の後隙に合わせた。
更に必殺技でコンボのダメージが2倍になっているのでとんでもないダメージを出す。
なんとかHPは残ったがギリギリの状態だ。
[キャロン]のspゲージも[ケイン]の必殺技によって0の最悪の状態だった。
その後、渚沙は一旦距離を取り反撃を入れようとしたが、それを突かれて、中距離技で追撃を受けてしまい、HPが0になった。
2ラウンド目は山田生徒会長の大逆転で一本を取り返す。
最終ラウンドが始まろうとしていた。
凄い緊張感で闘いを観ていた僕でさえドキドキしている。
そして最終ラウンドが始まった。
さっきまでとは違い、いきなり近距離戦になった。
渚沙はジャンプを多用し投げ技を透かしつつダメージを与えていく。
山田生徒会長はガードを固めて何かを狙っている様に見えた。
山田生徒会長が動き出した。
[キャロン]のジャンプの着地点に一気に詰めジャンプ後の隙に投げ技を通した。
更に追撃で相手がダウンしたのを確認しコンボを重ねて[キャロン]のHPを半分程削った。
だがここで[キャロン]のspゲージがたまった。
[キャロン]の必殺技は一定時間、攻撃力と攻撃速度と移動速度をかなり上昇する代わりに中距離技が出せなくなる。
渚沙は必殺技を使った。
山田生徒会長は[キャロン]必殺技の一定時間が終わるまで間合いを取りガードを固めた。
しかし渚沙は間合いを取り、ガード事を読み切っていた。
渚沙は[キャロン]の必殺技で上昇した移動速度を屈指し一気に間合いを詰めた。
焦ってしまった会長はガードをやめて攻撃を出してしまった。
渚沙は攻撃にカウンターを合わせ、ダウンした相手に必殺技で上昇した攻撃速度でしか出せないコンボを決める。
一気に[ケイン]のHPを0にし、渚沙が3ラウンド目を取った。
勝利したのは渚沙だった。
闘いが終わり山田生徒会長がゆっくりと椅子から立ち言った。
「流石[girls tour]優勝者だね、かなり強かったよ」
渚沙は笑顔で答えた。
「ありがとうございます」
「山田生徒会長こそ強かったですし、次闘うと勝てるかどうかわかりませんよ」
互いに認め合っていた。
すると、ゲーム部会長の佐山さんが凄い勢いで椅子から立ち上がり言った。
「そうだ!! 二ヶ月後に[Legend Beginning]って大会があるんだけど渚沙ちゃん出てみない?」
渚沙は驚きを隠せなかった。
「わ……私ですか!?」
ゲーム部会長の佐山さんは笑顔で答えた。
「そうだよ、渚沙ちゃんなら絶対いい所までいくよ」
渚沙はかなり迷っていた。
僕は静かに口を開いた。
「僕は出るよ、その大会に……」
渚沙は勢いよく立ち上がり言った。
「謙が出るなら私もでるよ!!」
「私、謙がゲームをまた始めたんだもの!! 絶対に出るよ」
僕は渚沙の変わりように驚いてしまった。
そして僕と渚沙は[Legend Beginning]に出る事になったのだった。