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第3話 冒険者になろう

場所:冒険者ギルド


マスター「やあ、ミルラちゃんいらっしゃい」

マスター「また、冒険者登録の希望者かい?」


ミルラ「ご機嫌よう♪ マスターさま」

ミルラ「本日はこの方の登録をお願いしますわ」


男「えっ…えっ?」


マスター「おいおい、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してどうしたんだ」


ミルラ「うーん、どうしたんでしょう?」

ミルラ「ミルラには分りませんわ」ささっ


ミルラは男にぐっと近寄って耳元で囁いた。


ミルラ「ねえ…分かってるよね?冒険者になりたいんでしょう?」

ミルラ「余計な事は言うんじゃないわよ?」ささっ


それだけ言うとミルラはぱっと男のそばを離れて

相変わらずニコニコした笑みで言葉を綴る。


ミルラ「さあ、さあ、マスターさまに自己紹介するのですわ」


男「ぼ、僕は…」


マスター「うんうん、そう言う事かい、分かった」


男「えっ?」


マスター「色々と苦労をしてきたんだな、大変だったろう」


男「は、はい…」


マスター「でも大丈夫、ここは全ての人を救済する救いの場」


マスター「貴方を救済しよう」


男「マ、マスターさま…!」

男(このマスターさまはなんて良い人なんだろう)


マスター「それじゃあ、この登録用紙に記入してくれ」

マスター(よし、これでまた一人カモをゲットしたな)


男「はい!」カキカキ


ミルラ(はぁ…マスターさまはかっこいいなあ)


マスター「おいおい、名前が未記入だぞ」


男「ああ、実は自分の名前分からないんです」


マスター「マジかよ…名前忘れるほどウスノロなのかよ」ぼそっ


男「えっ?」


マスター「おっほん、いや、それなら今決めよう」

マスター「君はどんな名前を名乗る?」


男「僕は…」


ミルラ「リチャード・イリオモテ・ヤマネコがいいですわ」


男「え?」


マスター「おいおい、それは俺の名前じゃないか」


ミルラ「そうでしたわ、ふっと頭に浮かんでしまいましたの」

ミルラ「これって…」


マスター「で、何か良い名前は浮かびそうかい?」


ミルラ「…くっ、またスルーされてしまいましたわ!」

ミルラ「でも、これくらいじゃ負けませんわ!」ぼそっ


マスター(うーん、俺のどこに興味を持ったのか知らないが)

マスター(俺は女の子には興味がないんだよなあ)


男「決めました! リチャード・イリオモテ・ヤマネコです」


マスター「マジかよ…」


男「頭にふっと浮かんだんですよ」

男「あれ? そう言えばミルラさんもそう言ってましたね」

男「僕たちってあれれ? 痛い、痛い!」ぐぐぐ…


ミルラは男の耳をぐっと引っ張って囁く。


ミルラ「一体何のつもりなの?」

ミルラ「余計な事したらただじゃ済まないわよ!」


明かに不機嫌な声で怒りを込めながら囁くとすぐに男を開放し

マスターに微笑を振りまきながらミルラは言った。


ミルラ「ほらほら、真面目にお名前を言ってくださいまし」


男「う、うーん…」


ミルラ「もう…しっかりしてくださいまし」


男「よ、よし、ひなた、日向にしよう」


ミルラ「日向?」


マスター「うんうん、良い名前じゃないか」


日向「改めて、僕の名は日向! よろしくな!」


マスター「はははっ、良い挨拶じゃないか!」

マスター「気に入ったぜ、これからよろしくな!」

マスター「末永く…なっ」くくくっ


ミルラ「ふ、ふーん、日向にしたのですね」

ミルラ「いいですわ、よろしくしてあげますの!」


マスター「さてとそれじゃあ、能力をチェックさせて貰うぜ!」


そう言うとマスターは日向に抱き着いた。


日向「な、なにをするんだ!?」


マスター「こら、暴れるんじゃない!」

マスター「能力をチェックするだけだ、ほら肩の力を抜け!」


日向「わ、分かりました…」


マスターは日向を心行くまで抱きしめた。

それをミルラは不機嫌そうに眺めていた。


ミルラ「羨ましいですわ…」



マスター「結論から言おう! 君のランクは最低だ」

マスター「冒険者として成功する見込みはほぼないし、潜在能力のかけらも感じられない」

マスター「正直に言うと冒険者にはこれっぽちも向かない」


マスター「…が、個人的に君が好きになった!」

マスター「週一回俺に奉仕するならば、特別に中級冒険者にしてやろう」

マスター「さあ、どうする?」


日向「お断りします!」きっぱり


マスター「ほう…即決するんだな」

マスター「ここだけの話、冒険者は俺たちギルドの養分だ!」

マスター「冒険者はその能力に応じてランク付けされるが、ランクが下になるほど過酷だ」

マスター「ランクが低いと碌な仕事は回ってこないし、稼げる金も少ない」

マスター「ギルドに収める金額で稼いだ金の殆どがなくなっちまうんだ」


ミルラ「そうですわね…ランクが低いと地獄ですの…」


マスター「中級なら安全で楽に金を稼げる仕事も回ってくる」

マスター「コツコツと実績を積めば上級に上がることだってできる」

マスター「だけど最低ランクならその可能性だってない、終わってるんだ」


ミルラ「…まったくですわね」


マスター「もう一度聞こう!」

マスター「週一回俺に奉仕するならば、特別に中級冒険者にしてやろう」

マスター「さあ、どうする?」


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