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第1話 現世からの離脱

男の外見は決して悪い方ではない。学力も人並みにはある。

ただ気力に欠けていた。

自分の力で道を切り開いていこうと言う気概がなかった。

何となく、ぼんやりと、ただただ年を重ねていった。


男「はぁ…僕はどうしてこうなんだろう」

男「やりたいことも、したいことも、夢も希望も僕には何もない」

男「とりあえずネットでもするかな、暇だし」


男はいつもの様に何年、何十年と繰り返してきた日課、

自問自答の後のネットサーフィンを始めた。


ピコン! テロテロリーン! パンパカパーン!

※「おめでとうございます! 貴方は当選しました!」


男「ん? なんか踏んじゃったみたいだな」

男「とりあえず、削除、削除」


でろでろでろでろ…でろでろりーん!

※「あーあ、やっちゃいましたね!」

男は死んでしまった…!




男「ここは一体…?」


※「貴方は死んだのです」


男「そうか、僕は死んでしまったのか」


※「悲しいでしょう? 辛いでしょう? 無念でしょう?」

※「そ・こ・で…」


男「いや、別に…」


※「ええっ!? 死んだのですよ? 悲しくないんですか!?」


男「あまり…」


※「いやいやいや、もっと真剣に考えてみてくださいよ」


男「うーん、やっぱり別に…」


※「ま、待ってください! ダメです! 死んじゃうのはよくないです!」


男「良くないと言われても…死んじゃったんですよね?」


※「ふふふ、そうです! 貴方は死んじゃったのです!」

※「どうですか? 恐怖がふつふつと湧き上がってきましたか?」

※「泣いてもいいんですよ、叫んでもいいんですよ」


男「まあ、いいや」


※「ちっがーう! 違うんです、私の求めてる答えと違うんです!」


男「そんな事言われても…」


※「いいですか? いいですか? 私は神さまです」


男「そうか、それはびっくりだ」


神「つまり、とても偉いんです」


男「偉い、偉い」


偉い神「貴方を生き返らす事が出来ます」


男「そうか…いらない」


偉い神「ええっ!? 生き返りたくないんですか!?」


男「世の中には貧困に喘ぎ苦しんでる人達も居る」

男「生まれたばかりですぐ死ぬ人も居る」

男「そんな世界で僕は何年、何十年と生きてこれたからね」


偉い神「そ、そうなんですか…」


男「何よりもまた生きるのは面倒くさい」


偉い神「損しました! 今ちょっとだけキュンときた私はすっごく損しました!」

偉い神「私のときめきを返してください!」


男「ええっ!? 僕は悪くないんじゃないかな?」


偉い神「あっ、やっと表情が出てきてましたね」

偉い神「さっきから全然表情変わらなかったから」

偉い神「どこか痛いのかなーって思っちゃいましたよ」


男「それは僕が死んでるからじゃないかな」


偉い神「死んでも表情はあるものなんですよ? 知らないの?」ぷーくすくす


男「いやー、普通の人は知らないでしょ…」


偉い神「ともあれ貴方を生き返らせてあげます」


男「そうか、それは嬉しいな」


偉い神「ただし異世界です! 転生です!」


男「いや、それって生き返らせるって言わないのでは?」


偉い神「細かいですねえ、そんな事言ってるとハゲますよ」


男「既にハゲかかってるわ!」

男「と言うか僕の頭部を見ながら言わないで!」


偉い神「まあまあ、そんな事いいじゃないですか」

偉い神「人間、髪の毛が全てじゃないですよ」


男「く、くそう…自堕落な生活送ってたからなあ」


偉い神「ともあれ、貴方は異世界に転生します」

偉い神「もっと感情豊かに頑張ってくださいねー♪」


男の意識はそこで消えた…。


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