サバイバルですか?いいえ、迷子です
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拝啓、へっぽこプレイヤー神様
竜族の里から無事山を抜け出したら
ここはどこでしょうか?絶賛、迷子です。 獣道から外れ轍を追って歩いているので、いつかは人里へたどり着けるはず 。予備のお古が修繕しても無理な状態なので、新しい衣服も欲しい。あれ?町に入れないんじゃね?
ぼろぼろの古着に折れた剣を持つリュックだけは綺麗な子供 …怪しすぎる…教会があればおそらく保護してもらえるだろうけれど【加護】の関係で色々拘束されてしまうかもな。
となると、冒険者ギルドか…その前に里へ入って身支度整えてから村に向かうとするか。
道中、盗賊に遭うこともなく無事人里へたどり着たのはいいんだが絶賛ぼったくられ中です。いや、物々交換はいいけれど明らかに足元見られている。まあ、こんな小さな里なら衣服も貴重品だろうしね。魔獣の肉と解毒草後は木の実を少々。少なくともギルドで買い取ってもらえば半年は楽に暮らせるのに。
食事も水浴びも諦めて新しい古着を手に入れ、次に村を目指す。人里を充分離れてからいままでのボロ着を燃やした。
一息つけると思ったのにな、やれやれ。
延々と歩き続けているが、景色が変わらない。それこそ道端の手折った枯れ草一本、目印を付けた枯れ木の三本線先ほど通りすぎたはずなのにまた戻っている。
どうやら妖精の迷い道に入り込んでしまったらしい。
少しだけの懐かしさと厄介なことになったと足を留め遥か昔教わった呪いを唱える。
『今と昔を繋ぎ時の迷い子を導く道よ
失われた我が身を在りしかの人の傍へ誘え
思い色褪せるとも魂の色は変わらず』
リィーンと澄んだ音が響き、視界が開けていく。
わらわらと数人の童女と童子に囲まれる。いや、見た目だけの中身は軽く100才を越えるのが妖精だ。
「ようこそ、迷い人よ。古の呪いを守る時人よ」
「我ら歓迎いたしまする。ゆるりと滞在なされよ」
久しぶりの湯浴びに柔らかく温かい寝床、がちがちに固まっていた心も体もほどけ深い眠りにつく。
時たま出される不老と長寿の食事を避けながら、腹も満たされ休息を味わう。ありがとうございます。
《へっぽこプレーヤー神とある妖精族》
幻影が己の愛し子の頭を撫で、時たま髪を鋤く。カタリと音が鳴る、振り向きもせず愛し子を見つめながら
『久しいな、瞬きの間これが世話になる』
「はい、お久しゅうございます。今生お会いできるとは、長生きしてみるものですな」
寝顔にかつての面影はないが魂の色が変わらず、 不器用なそれでいて己の欲望に愚直なさまは何度転生しても生き辛いだろうとため息が零れ
『…何だ?』
ひたりと視線が絡みあう。互いの表情は抜け落ち、淡々と言葉が繰り広げられる。
「束の間の安息を与え、また荒波に放り出されるか。忘れさせるならすぺて忘れさせられた方が幸せでしょうに。意思ある人形として愛でるほどに憎んでおいでか」
【加護】という名の【執着】で縛り、人族として
歪な知恵を持たせ 独り立ちをさせる。染まることを許さず、和に馴染むことも許さず
あなた様だけを頼らせるように
そしてあなた様を受け入れぬあの子を
『ずっとさ迷えばいい、充たされることなくな』
僅かに口角をあげ幻影は消える。哀れむような眼差しを最後に向けて。
ここまでお付き合いくださってありがとうございます。前回ブックマーク並びにポイント評価ありがとうございました。一応この短編で区切りとさせて頂きます。エタる恐怖に克てずチキンな筆者をお許しくださいませ。これから繁忙期、風邪引きさんも増えてくるのでご自愛くださいね。ありがとうございました。




