神と出会う第8話
「えっ、神様?」
「そう。神様」
パッと見80歳は超えてる感じの長身痩躯の老人。
いや、まぁ神様のイメージ通りではあるんだが、イメージ通り過ぎて逆に信用出来ない。
「信用出来ないんですが」
「君は思ったことをそのまま口にするんだね」
あ、そうか。筒抜けなんだっけ。なら隠さなくていいか。
「で、神様みたいな人は俺に何の用なんですか?」
「何考えても筒抜けだからって何言ってもいい訳じゃないからね……しかもみたいなって……」
嘆息する神様。ヘコむなよ……
「まぁいいか。とにかく、君…因幡くんはラメエルの店で働くんだろう?」
「はい」
「んで、裏の仕事も説明受けて、実際見ただろう?」
「はい」
「アレをやってもらいたいのよ」
「はぁ?」
つい何言ってんだコイツみたいな声が出てしまった。
……何言ってんだコイツ。
「うん。君僕に容赦無いね。とにかくアレをしてほしいわけ。」
「……はぁ、まぁ、だから給料高いんですし。で、なんの力も持ってないんですけど、何すればいいんですか?……あ、もしかして特別な能力を貰えるとか!?」
「違う」
違うんかい。
「今君の考えは離れていても僕には届くけど、君には届かないだろう?だから相互に届くようにしたいんだ。神の啓示ってやつだね」
「はぁ……」
「まぁ、わからないよね。とりあえずやってみようか」
「はぁ。まぁ。どうぞ」
もう何言ってるかわからないし、任せることにした。
「はい終わった」
「早すぎィ!?」
神様がパチと瞬きしただけだった。えっ、本当になにかしたのか!?
『届いてるかい?』
『!?』
頭の中で神様の声が響く。しかし神様の口は動いていない。本当にテレパシー出来てるんだ……
「さて。もう帰っていいよ。今日だけで色々ありすぎて頭パンクしそうでしょ?」
「は、はい……」
「うちはホワイト企業だからね。定時退社、病欠、有給休暇なんでもOK」
「企業だったんですか」
「そんな細かいこと気にしないで。ほら、そこ立って」
「えっと……ここですか?」
「そうそうそこ」
行きの時みたいに立ち位置調整される。……ん?行きの時みたいに?
「はい。じゃあまたねー」
「いや、待ってくださいもしかしてーーー」
ーーー瞬間、俺は再び空に投げ出されていたーーー
「や、やっぱりぃぃぃぃぃ!!!!」
天界……かなり危険だ………!!