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雲の上の第6話


天国の門。それは無駄に華美ではなく、しかしどこか美しく、雲の上にそびえ立っていた。


「これが……」

「綺麗……」


あまりの迫力に後ずさりかけたとき、


「あ、おい手下。それ以上下がると落ちるぞ」

「へっ?」


恐る恐る後ろを振り向くと、


「お、おわぁぁぁぁ!?」


そこには『なにも』無かった。自分たちも雲の上に立っていたのだ。そして今俺達がたっているのは雲の端っこ。


「な、な、な……」

「ここは空の上ですからね~。踏み外せば普通に死にますよ~」


ガブリエルの注意がなかったら今頃俺は人生最初で最後のスカイダイビングをしているところだった。危ない危ない。

………雲って立てるんだ……。


「あ、あれ私たちの街ですよね?」

「お、おう…お前よくビビらねぇな…」


向こうでは双葉さんが雲の端から真下をのぞき込んでる。


「さ、行きましょう~」

「おいお前が仕切るな!ラメエル!!」

「久しぶりなんだからいいじゃないですか~」


仲良さげに会話するラメエルさんとガブリエル。天使と堕天使が絶対仲が悪いという訳ではなさそうだ。


☆☆☆


「お、おお……」


扉の先には大きな街、そして真ん中には馬鹿でかい城があった。


「あの城のとこらへんに神様がいるんですよ~」

「え?今俺神様に会いに行くんですか?」

「そうですよ~?言ってませんでしたっけ?」


言ってない。


「おい何モタモタしてんだ?置いてくぞ?」


肩におっさんを担いだままガブリエルが先導する。


「待ってくださいよ~」


それに続きラメエルさんも小走りでガブリエルのとこに向かう。


「……俺達も行こうか」

「…へ?あ、はい!」


そして俺は街の雰囲気に目を輝かせている双葉さんに声をかけ、城に向かって歩き始めた。


☆☆☆


30分くらい歩くと、城の門の前にたどり着いた。

やはり城も馬鹿デカイ。


「俺だ。開けろ」


ガブリエルがそう言うと、門がひとりでに開く。


「今じゃ私の名前を使っても開かないんですよね~」

「堕天したお前が悪い」

「ガブリエルひど~い」

「ひどくない」


最早完全に俺と双葉さんは蚊帳の外だった。

2人とも躊躇いなく城に入っていく。

すると奥から、


「あら、ガブリエル。おかえりなさい。隣はラメエルかしら?久しぶりね」

「おう。ただいま」

「久しぶりです~」


奥からまた1人の天使が出迎えてくれた。


「そして後ろの人間は…?女の子の方は被害者の子よね?男の子の方は?」


天使の目が俺の方を見る。慌てて自己紹介した。


「あ、俺は因幡っていいます。ラメエルさんのところで働かせてもらってます」

「わ、私は双葉です!被害者です!」


被害者がそんなハキハキと自己紹介するな。


「働く……?ってことはラメエル。その子……」

「はい~。適正バリバリです~」

「だよな。どう見てもあれは……」


天使3人でなにやら俺についてヒソヒソ話をしている。目の前で俺について話されるとどこかこそばゆい。


「あ、そうそう~。忘れてました~こちらの天使は~、神様の秘書、メタトロンです~」

「あら、私ってば自己紹介してなかったのね。初めまして、メタトロンです」


メタトロンって、またまた大物だな……ゲームとかでよく見るぞ。


「さて、そのおっさんはいつものところに放り投げておいて。私は触りたくないわ」

「おいおい…仮にも人間だぜ?大事に扱えよ…」

「私の中で犯罪者は人間じゃないのよ。で、ラメエル。貴女達は神様のところに?」

「はい~。因幡さんが啓示を受けれるようにしてもらおうと~」

「そうね。とりあえずその被害者の子は私が見ておくわ。行ってらっしゃい」

「は~い」


ラメエルさんがニコニコしながらこっちに戻ってくる。


「いやいや、啓示って何ですか!!俺何も聞いてないんですけど!?」

「これから働くのに必要なんです~」

「危ないことはしないんですよね!?」

「ここは天界ですよ~?するわけないじゃないですか~」

「……なら、まぁ、いいですけど」

「はい~じゃあ、こっちですよ~」


少し心配だが、仕方が無い。ラメエルさんにしぶしぶついていく俺だった。

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