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採用される第2話


「なんか……どっかでゲーム実況してそうな名前ですね……で、具体的には何をするんですか?」


『少年少女を守ろうプロジェクト』。略して『SSP』。もうちょっと名前なんとかならなかったのだろうか。この喫茶店にしろ、これにしろ、少しひどい気がする。


「このプロジェクトは〜、この街に住む少年少女が安全に暮らせるように〜何かあったらすぐ助けに行くプロジェクトなのです〜」


そもそもこれは仕事の内容なんだよな。大丈夫なのか?こんなゆるっゆるな内容で。内容がないようってか?やかましいわ。


「で、それはどうやって見つけるんですか?」

「神様が教えてくれるんですよ〜。直接脳内に〜」

「………はぁ…」

「ふふふ〜。気になるでしょ〜?」

「いえ別に」


正直なんかもうここで働く気は失せていた。痛々しい店長、訳の分からない裏の仕事、そして厨二臭い名前の喫茶店。いくら時給が高くてもやる気が起きない。

意地の悪そうな顔でラメエルさんは続ける。


「そうですね〜。例えば、あなたが学校でなんて呼ばれてるかを当てます〜。それで信じてもらえます〜?」

「はぁ?……まあ、別にいいですけど、できるんですか?」


自慢じゃないけど、俺のあだ名は8個くらいある。主に悪い奴が。


「じゃああててみせます〜。いきますよ〜?」


ラメエルさんは息を大きく吸い、そして吐き出した。



「ひねくれオタク、喋らなきゃフツメン、痩せたカ〇ゴン、百人乗っても大丈夫、カス、バカ、ゴミ、イ〇ポ」


「うわあぁァァァァァ!!!」


俺は頭を抱えながら床を転がった!俺のガラスのハートに2800のダメージ!イナバは倒れた!


「いやぁ……ひどいですね〜。ボロカスですね〜。喋らなきゃフツメン……」

「そんなに酷いのかな俺………」


しかもカスとかゴミとかダイレクトな悪口もあるし!辛いわ!あと俺はイ〇ポじゃねぇ!!


「さて、これでどうです〜?神様を信じてもらえました〜?」

「くっ………」


なんだよ!神様は俺の傷をえぐって何が楽しいんだ!神様のバーカ!


「あ、いま神様のことバカにしましたね〜?」


だめだ、全部筒抜けだ。

もう認めるしかないようだ。てことは……


「もしかして……ラメエルさんもほんとに堕天使……だったり?」


恐る恐る聞いてみる。


「何回言わせるんですか〜!この羽もちゃんと生えてるんです〜!ほら〜!」


背中の羽の付け根を見せてくるラメエルさん…………ごくり。


「ね〜?本物でしょ…………因幡さん〜?よだれが……」


はっ!?黄金色の背中が……夢か!?


「ま、まあ……いいでしょう…信じて上げます」

「なぜ上から目線なのかはわかりませんが〜ありがとうございます〜」


いちいち何かを気にしているラメエルさん。

にしても、さっきから気になっていたのだが……


「あの……なんかこの店人少なすぎません?」


そう。この喫茶店に入ってからラメエルさん以外の人物と会っていないのだ。今日はみんな休みなのだろうか。


「そりゃそうですよ〜!私以外一人もいませんから〜」


………。

言葉を失った。


「えっ……一人もですか?」

「はい〜!だから人員が欲しかったんですよ〜。あなたが来てくれて助かりました〜。明日からよろしくお願いします〜」


なんか、そんなことを言われると、自分が必要とされてる気がして少し恥ずかーーー


ーーーちょっと待て。


「えっ……あの……俺は……受かったんですか?」

「えっ?あ〜!はい〜!最初から確定でしたけど〜」


………。じゃあ何か?早起きが苦手な俺が早く起きて、読みたいラノベも読まずに支度して、そして今までのやりとりも全部時間の無駄……と?


「………ふ」

「?どうしました〜?あ、あぁ!そう言えばーーー」

「ふざけるなァァァァァ!!」


「ーーーへ?うわ、ちょ、どこ触ってるんですか!やめあ、ああああああああぁぁぁぁぁ………」


というわけで、明日からここで働くことになりました。因幡です。よろしくネ☆


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