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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ただ嫌いなだけ

作者: フェルル
掲載日:2017/01/17

 

 人々は言う世界は無限の可能性を内包している。


 例えば、【勇者】とやらがもたらした書籍のおかげで最近よく見るようになった中世時代レベルで魔法がありふれた世界だったり魔物なるモノが身近にいてそれを倒したりする冒険者なる者らが世界の神秘や仲間とドラマを生む世界。

 はたまた、特殊な学園に行き青春や戦いを経験し成長する者たちの居る世界・・・


 このように世界には無限の可能性が宿っている。

 だが、その無限の可能性ゆえに絶望し救われない者たちもいる、その者たちはその世界で抗い可能性を見出そうとするも必ず世界から異端とされ淘汰される。


 魔法が当たり前の世界では魔力を持たず生まれたがゆえに魔法以外の攻撃方法や理論を確立させようとし、周りから外道と言われようがその道に進むもその世界の最強や恵まれた・・・いわゆる【主人公】に何かしら衝突し淘汰される。


 その学園があったから愛しき人、愛する家族が殺されたり人格が変わり果てた状態でいたり・・・

その先にあるものを知ってるがゆえにその考え停めようとして本人に拒絶され【主人公】にそこを付け込まれ周りから悪役のレッテルを貼られる。


 「―――――――――――」


 しかし何度も言うがこれは可能性の話だ。


 もしかしたら淘汰されずに【主人公】と共に己が作った武器等を駆使して冒険するかもしれないし、【主人公】の性格を気に入り愛しき家族、愛しき人の意思を尊重して身を引き見守る事もあるかもしない。


 「―――――――!」


 だからこそ言おう・・・

 私は【主人公】が嫌いだ。


 「―――――まぁ!!」


 だからこそ私はこの力を手に入れた【主人公】を殺すために・・・

 

 「―――貴様ぁ、よくもシェスカを!!」


 〖・・・・・・うるさい〗


 ああ、弱すぎて思考の海に溺れていたようだ・・・


 「アービィーくん!

 いっけぇーーー!」


 〖・・・うるさい〗


 愛しかったはずの家族が不快になる名前を呼ぶ『アービィー』と、不快だ。

 聞いてるだけで反吐が出る。


 「安心しろ、ジェスカ!

 お前は姉の回復に力を注いでいてくれ!

 こいつを倒して攫われたお前らの兄を救って見せる」


 〖反吐が出る〗

 

 別に私は攫われたわけではない、自分の意思で表舞台から消えたのだ。


 あの【科学者】とやらには感謝している。

 アイツのおかげであるのだから・・・この力を得れたのもこいつを殺せる機会を得れたのも

 まあその代わり人間の身を捨てたが、もうよいだろう。

 

 |私にもう家族などいらないし、人間として生きていくのも嫌だったからな《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》


 背後から足音が聞こえてくる。 


 「あの男ころしてきたよ!」


 「兄は、居なかったよアービィ―兄さん」


 後方を確認するとあの【科学者】が生き別れの妹がいると言っていた特徴と全く同じ少女と私の弟がいた。

 言葉を聞く限りあの【科学者】は死んだのだろう、愛しき妹に憎まれ狂人を演じたあの男はその妹に殺されたのだ。

 そして、弟は尊敬する眼差しでアービィ―を【兄さん】ト呼んでいた。

 

 『姉さんたちは何時か分かってくれるよ兄さん』


 『僕が兄さんと呼ぶのは兄さんだけだよ』


 ああ、お前も染まってしまったんだな・・・


 「そうか・・・

 いつか必ずお前の兄ちゃんを見つけて連れてきてやるからな、ガルパ」


 嬉しいよ(・・・・)


 「その前にこいつを倒さないとな」


 安心して殺せる(・・・・・・・)


 〖くく、クククククハッ〗


 「こいつ・・・わらっているのか?」


 ああ、そういえば今話せる言葉はあいつ等に聞こえないのだったか・・・

 たしか、肉体を自由に改造できるって言ってたから人型になるか


 「こいつ、なんか様子がおかしいぞ!」


 「アービィー兄さん、気を付けてなんか嫌な予感がする」


 「ああ、それは正しいぞ」


 「こ、この声・・・兄さん!」


 「お兄ちゃん!?」


 「アンドリュウか、どこに居るんだ?」


 愚かだなと思うよ、本当に


 「口を開くな、反吐が出る」


 「に、兄さん!?」


 「まったく、人間とは醜く反吐が出るよ。

 だから私は人間とは一緒に居たくない8のだよ」


 「アンドリュウお兄ちゃん?」


 「まだ気が付かないのかい?

 目の前にいるじゃないか、人間」


 「まさか・・・」


 ようやく人型になれたか


 「さて、【科学者】も生き別れの妹に最期に会えたようだし、私は自由に動かせてもらおう」


 「え?

 生き別れの・・・妹?」


 「きみだよ、お嬢さん。

 あの【科学者】満足した顔して死んだでしょ」

 

 絶望している人間たちの顔を見る。

 きっとすぐに【主人公】が気のきいたセリフを吐くだろう

 例えば「アンドリュウはあの【科学者】とやらのせいで可笑しくなってるんだ。

     アンドリュウはきっと本当はそんな事望んじゃあいない」と

 言ってやろう、ご都合主義はもう散々だ。

 

 だから始めよう、復讐章でもない英雄章でもなくただの八つ当たりであり【主人公を殺す旅】を


 「さて、アンドリュウとして本心から言ってあげようか

  【主人公】ご一行に今まで私が味わった絶望と私の八つ当たりのために死ね」


 これは【主人公】達によって狂わされたもの達の哀れで虚しい足掻きの物語


 

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