white snow princess
「お姫様、だなんて、まるでおとぎ話のようね。」
「白雪…」
「森に果実でも取りに行きましょうか。
小人さん」
真っ白い肌に、黒色の痛み一つないサラサラの髪の毛とふさふさのまつ毛。
ピンク色の頰は、まるで甘い果実のよう。
お城の中での暮らしに、少し飽き飽きしてしまい家を飛び出したのが1ヶ月前。
優しいお母様がお星様になり、お父様が再婚した隣国の女王さまは、私のことが嫌いのようで住み心地が悪かった。
出て行きたくて仕方なくて、よくお城の外へ抜け出して散歩をしていたところ、小人さんたちと出会った。
「白雪白雪!
この果実、甘そうだよ」
「まあ。
これで、ケーキでも作ろうかしら。」
家事全般をお城でもやらされていたおかげで、お城を飛び出した今でも生活できているから、その辺については継母様に感謝している。
小さな小屋に、小さな妖精。
大きなお城で、継母様の下で、まるで下僕のような日々を過ごしているときよりも、何倍も何十倍も幸せだ。
決して裕福な暮らしではないけれど、確かな幸せがここにはあった。
ずっと、このままでいられると、信じてやまなかった。
____その日までは。
ある日。
小人たちは、いつも通り仕事に行き、私は1人で小屋の掃除をしていた。
そんなとき、
ーートントンッ、
扉をノックする音が聞こえて、誰かしら?と思いながら、ゆっくりと扉を開けると、
「お嬢さん。
この甘くて美味しい林檎、食べないかい?」
フードを被った老婆が、籠の中に入った不気味なリンゴを差し出した。
「まあ、美味しそう!」
「おひとついかがかね?」
「はい…って、食べるわけないじゃない。
私、リンゴアレルギーなの。」
「…え、」
差し出された林檎を腕で振り払う。
「林檎なんて食べたら、カラダ中に蕁麻疹が出てしまうのよ。
だから、ごめんなさいね。」
開いた扉を再び締め、ガチャリ、と鍵をかける。
童話のように上手くいくことばかりじゃないのよ。
「…なーんてね。」
戸棚の上に置いてある果実をそっと口に含んで、白雪姫は楽しそうに口を歪めた。
***
確かに恋だった様から 崩壊する童話5題の中の "白雪姫はリンゴアレルギー"をお借りしました。
僕のとこの白雪姫さんは、少々策士家で、純粋さが欠けている模様ですぶーん。
白雪姫って、もっと純粋可憐なお花畑お嬢様だと思ってた!よ!