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にじゅうに

「終わった終わった〜」

 

 伊狩邸の一室。

 さっきまでは襖を抜かれて広々としていたこの部屋には、今はもう僕とこの人、扇 結のただふたりきりが残っていた。

 長い間ここに居座ろうとしているのだが、別に帰るのがダルいとか、陽菜ちゃんたちを送りに行った夏希の帰りを今か今かと待ち詫びているわけではない。

 扇 結嬢が、今日は全く関係なかったのに僕を集会に呼び出し、また僕に良からぬことを吹き込んだ。

 そもそもが利害関係の一致で一緒にいることもあるにはあるのだが。

 最近ではラクの経過観察を軽く報告したこと以外で関わりがない。

 関わるとろくなこともない。

 目的のために利用される覚悟はあるが、手の内を見せなさ過ぎて結局なにをしたいのかわからない女だ。

「偉く疲れたように見えるが、そんな長い集会でもなかっただろ」

「途中だけ面白いことはしたけどね。この頃休みなしなのよ、お姉さんは」

 つまり、日々の疲れが溜まり切っているということだ。

 見た目以上にOLをしていて正直ビックリするところだ。

「上がね。たまには部下に顔見せろってうるさいかったのよねぇ」

「その程度の理由でこんな中途半端な時期に集会を開いたのか…………」

「もちろんコノムくんの経過観察も兼ねていたけど」

相変わらずラクはお気に入りか。

初対面の頃は死闘を演じていたと聞くが、どうもこの人の一方通行な信用と見える。

ラクがこの人の目を掻い潜って、一体なにを企んでいるのか見ものだな。

————以下改稿中

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