亀の大群にボコられた結果
俺に向かって上空から飛んでくる槍と矢。
地上は剣と盾を掲げた亀の大群が水飛沫を上げながら凄まじい数と勢いで突進してくる。
その大群の中にはLV60の6人パーティーでも苦戦する幹部クラスの亀までいくつも混じってる。
こいつはソロで戦うにはLV90は必要だったはず。
それに対して俺はLV50にも達してない。
しかもソロだ。
こりゃ詰んだな。
ヘブンと雪の囮をしようと思ったが五秒も持たないんじゃね?
まあ、最初から分ってた事だけど。
すぐに切り捨てられて終わりだな。
亀の突進を受ける前に槍の串刺しになって死ぬのか。
全然おとりにならなかったな。
俺は上空に向かって盾を構える。
トールの盾はバックラー系の盾で防御性能に比べて意外と小ぶりで取り回しのいい盾だ。
逆に言うと小ぶりなので多少防御範囲が心もとない。
これだけビッシリと上空を覆うほどの槍や矢が降り注ぐとなるとこの盾で全てを防ぐのは無理だろう。
頭を守れは胴を隠す事は出来ず、胴を守れば頭を晒す事になる。
矢の雨を傘代わりの小さな盾で防ぐ感じ。
あんまり意味ないな。
三秒後、俺に槍と矢の豪雨が襲う!
ブス!ブス!ブス!と音を立てて地面に突き刺さる槍と矢。
目の前の地面が一瞬で生け花に使う剣山のようになった。
俺も一瞬で串刺しになると思いきや無事だった。
代わりに遠くの亀から悲鳴が上がる!
「うぎゃー!」「うごー!」「ぐはーっ! いてー! 俺の腕が! 腕が!」
何が起こってる?
見ると亀達が槍で串刺しになっていた。
何が起こっているかすぐに分かった。
攻撃反射だ!
俺に向かって放たれた矢が俺に突き刺さる前に見えない障壁に弾かれて放った者を射抜いていた。
遠方に居た遠隔攻撃を仕掛けて来た亀達の殆どが倒れている。
地上を突進してくる亀達はそんな事が起きているとも知らず剣を構えながら突進してくる。
そして俺に近づいた瞬間、大岩に突撃したイノシシの様に追突以上の衝撃を受けバタバタと弾き飛ばされる!
どれもかなりの距離を弾き飛ばされ二度と立ち上がる事は無かった。
それと同時に滝の様に埋め尽くされる俺のログ。
亀達が致死級のダメージを受けて即死しているログが俺の視界の隅のログウィンドウに報告される。
攻撃反射は遠隔攻撃も近接攻撃も共に弾き返すのか。
数本の矢は攻撃反射をすり抜け俺に届いた。
届いたと言ってもあくまで届いただけ。
トールの鎧の凄まじい防御力に阻まれほぼ無効化されてかすり傷程度のダメージ。
しかも次の瞬間にはHP自動回復でかすり傷が無かった事になっている。
このレベルの敵に通用するのか?
こりゃヤバ過ぎる位に強いぞ。
うひゃ!
俺最強じゃね?
うひゃひゃひゃひゃひゃ!
今迄デスマスクの様に緊張して固まっていた顔の表情が緩み、笑いが止まらない。
バタバタと亀が倒れて俺のインベントリに素材とドロップアイテムが流れ込んでくる。
攻撃反射で倒しても普通に倒した扱いになるみたいだな。
幹部クラスの亀達から店売りで一部位15万Gの真亀甲シリーズの防具や武器が面白い数取れる。
一匹当たり3部位ドロップとかそれぐらいの数だ。
普通は幹部を20匹ぐらい倒して1部位落とすかどうかぐらいなんだけどな。
たぶんLUKがカンストしてるせいだろう。
いまのちょっとの戦闘時間で200万ゴルダぐらい稼いでる。
俺の2ヶ月分ぐらいの稼ぎだ。
笑いが止まらん!
俺が大笑いしてると目の前には亀王『カイザー・シックリテ』一匹だけが立っていた。
仲間を全て失った亀王は息をのむ。
「なにやら怪しい術を使う者め! 何をした!」
「俺はなにもしてないぞ。あいつらが勝手に死んだだけだ」
「嘘を言え!」
「攻撃反射のスキルを持っているだけだ。俺が攻撃反射を持っているのを知らずに攻撃してきた馬鹿が反射された攻撃を喰らって勝手に死んだだけだ」
「攻撃反射だと! 攻撃反射は攻撃を反射してもそれと同じだけの攻撃力のダメージを受ける技だ。あれだけの槍の雨を喰らえば生きている訳が無いだろ!」
「普通のプレイヤーならばな。でも俺の装備は防御力が半端なく高いから、雑魚の槍攻撃程度じゃ傷一つ負わないんだわ」
「なんだと!」
チート級の能力を持ってる事を思い出して急に余裕出て来たわ。
ガチャで当てた装備達の能力は本物だ!
言葉通りの真の最強装備だ!
LVが低いのに結構いけるな俺。
そういや、ここには俺の武器の試し切りをしに来たんだったな。
亀王は防御スキル全開状態なら防御力だけは魔王よりも高い。
デュランダルの試し切りの相手としては申し分ない。
俺はデュランダルを構え試し切りをする事にした!