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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第一章 全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、なんだかんだでトッププレイヤーになる
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亀の大群に追い掛けられた結果

 猛スピードで雪崩の様に追って来る亀の大群。


 当然俺達は逃げる。


 あれだけの大群に絡まれたら即死だ。


 試し切りどころじゃない!


「お兄ちゃん、ギフトの沼の湿地帯の外に出れば亀の縄張りじゃ無くなって追ってこなくなるから、そこまで全力で逃げよう」


 俺達の背後から雪の泣き声が聞こえてくる。


「ご、ごじゅじんさまー! なんで雪がこんなにがんばって沢山の亀さんを連れて来たのに、逃げちゃうんですか! 私だけ置いて行かないで下さいよー!」


「そう言われてもな! お前頑張り過ぎだろ! なんでそんなに大群の亀を連れて来るんだよ! LV50に届いてない俺がそんな亀の大群を倒せる訳無いだろ! ボコられたら一瞬で死ぬレベルの大群だぞ! 何考えてるんだよ!」


「だって仕方ないじゃないですか! 亀の屋敷に忍び込んだら亀さんが大群になって襲って来て、どんどん加勢してくるから立ち止まる訳にもいかなくて屋敷の中を逃げ回り続けてたらこんな大群になっちゃったんですよ! 助けて下さい!」


「その大群にレアボスまで混じってるから助けるのは無理! 俺が助けに行ってもそいつに殴られたら一瞬で消し飛ぶだけだから! 頑張ってエリアの外まで逃げろ」


「そんな……ごしゅじんさま、このままじゃ私死んじゃいます! めちゃくちゃ殴られてます。すごく痛いです!」


「大丈夫だ。お前はパトだから死んでも戦闘不能になって俺のインベントリの中に戻るだけだ。おまけに死んでもお金のロストも経験値のロストもなんにも無い。すぐに街の教会で復活させてやるから安心して死んいいぞ」


「そ、そんな! 死ぬのなんて嫌ですよ!」


 普通のパトだと主人である俺の命令を聞いてハイかイイエしか答えない物で死ねと言ったら死ぬまで戦い続ける物なんだけどな。

 

 こいつは特別なレアパトの為、獣人の幹部クラス位のAIが搭載されているのか死ぬ事を嫌がる様だ。

 

 でも、所詮は道具。

 

 死ぬのを嫌がっても気にする事は無い。

 

 俺は心を鬼にして自分の身の安全と所持金の安全の確保の為、パトの雪をおとりにして逃げる事にした。

 

 雪は涙と鼻水で顔をぐちょぐちょにしながら俺に助けを求めている。

 

「うわーん! ご主人様!」

 

「ねえ、お兄ちゃん。雪ちゃんてパトだから私達プレイヤーと違って死んで復活する時に蘇生失敗するとキャラロストで消えちゃうんじゃない?」


「マジかよ! 消えるのかよ!」


「私のギルドの先輩がパトの実装の時からずっと使ってた丸大豆トカゲを蘇生失敗で失ったんだ。先輩物凄く悲しんで、ペットロスでBBBを引退しちゃったんだよ。だから蘇生するとキャラロストするかも」


「キャラロストするのかよ! でもこの状況じゃあの敵の大群の中に助けに行くわけにもいかないだろ?」


「今ギルドの人に助けに来てもらってるんだけどね。もうすぐ着くと思うんだけど間に合うかな?」


「それは助かる。さすがヘブンは根回しが早いな! ヘブン最高だぜ! まあ助けが来てる来てないにしても沼の外まであと少しだから、そこまで逃げた方が早いだろう。雪もレアパトだからあんなに殴られててもいまだに生きてるし出口ぐらい迄は耐えられるんじゃないか?」


 その時、背後から物凄い打撃音が!

 

 雪が敵が投げた棍棒を足に食らって思いっきり転倒した!

 

 びたん!と地面に叩き付けられもの凄い水しぶきを上げながらスライディングをする雪。

  

「やべえ! 雪がコケた!」


「どうしよ、お兄ちゃん! 雪ちゃん敵に取り囲まれて死んじゃうよ! 死んだら消えちゃうかもよ? あれ? お兄ちゃん?」

 

 キョロキョロと辺りを見て姿の見えなくなった俺を探すヘブン。

 

 その時、俺は何も考える事無く雪に駆け寄っていた。

 

 雪にキャラロスト判定が有るならむしろ犠牲になるべきは俺の方だ!


 俺は倒されても所持金が減るだけで消える事は無い!

 

 雪を犠牲にはさせない!

 

「ごしゅじんさま、助けに来てくれたのですか?」

 

 泥水で真っ黒になった顔を上げてほほ笑む雪。

 

「お前を死なせるわけがないだろ!」

 

「ご、ごしゅじんたまー!」

 

 俺は雪の手を引っ張り引き起こす。

 

 そして渾身の力を込め雪をヘブンへと投げた。

 

「後は任せた!」

 

「お、お兄ちゃん!」

 

「俺の死を無駄にするな! 逃げろ!」


「う……うん」

 

 ヘブンは雪を抱き上げ俺を何度か見ながら沼の出口へと走っていった。

 

 俺に迫る亀達。

 

 雪崩のような勢いと数の亀が俺目がけて泥水を跳ね上げながら突進してくる。

 

 上空からはヤリが俺目がけて何本も放たれている。

 

 終わったな、俺。

 

 カッコいいこと言って囮になったけど即死だなこりゃ。

 

 雪達、ちゃんと逃げられればいいな。

 

 その為にも俺が数秒でも亀達を足止めしてやらないと!

 

 俺は覚悟を決めて剣を構えた。

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