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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第三章 商売をして大金持ちになったので、なんだかんだで村を作る
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至高のダンジョン

「お兄ちゃん、あの兵士達が私達の事を指名手配犯と言ってたけどその原因が分かったよ。なんでも、前にレッドレイクから追い出した錬金術師がスキル上げで多額の借金を背負った事による腹いせで王様に有る事無い事吹き込んでるらしいのよ」

 

「あー、マサルが原因だったのか……」


 それにしてもマサル。


 錬金スキルの廃上げで借金を背負ったとはいえ、俺の唯一のフレンドだったのになんでそこまで俺の足を引っ張るかな?


 借金位俺が払ってやったのに……。


 唯一のフレンドだと思ってたのに俺をハメようとするなんて悲しいわ。


 金払ってやってもごねる様だったら元フレと言えどぶっ潰せばいい。


 でもそんなくだらない事に煩わされるのは時間がもったいなさ過ぎる。


 いまはダンジョンを作る事に全ての時間を注ぎ込みたい。


 俺のやる気は今まさに最高潮なのだ!


「どうする? また懲らしめる?」


「あんな雑魚放っといていいよ」


「でも、また兵士達が来たら面倒じゃない? 兵士来たら倒しちゃうの?」


「別に仕事でやって来る罪の無い兵士を倒す必要はない。兵士が来たら変身すればいいだけの話だ。暇が出来たらあの錬金術師達に話をつけに行こう。だが今はそんな無駄な事をする時間はない」


「あれだね?」


「ダンジョンですね」


「そうだ、俺達は世界最高のダンジョンを作らないといけないのだ!」


「おー!」


「ご主人様、やる気満々です!」


「ガイヤ君、ダンジョン作ってると本当に楽しそうだよね。バイトの時こんな楽しそうな顔見た事無いよ」


「そんな事無いです。俺はバイトをしてる時も全力ですから!」と言いつつバレバレの嘘でぼける俺。


 ダンジョン作ってると物凄く楽しい。


 やっぱり親父の土方の血を引いてるんじゃないかなと思う。


 いや、血筋とかでは無い。


 子供の頃親父が建築図面を引くのを見ていて憧れてたんだ。


 オヤジの仕事に。


 今ではすっかりあの時の気持ちは忘れてしまったけど……。


 さっそく打ち合わせを始める。


 ──至高のダンジョン製作委員会


「必死に作ったダンジョンなのに、あの兵士たちに「こんな糞ダンジョン見た事無い!」と言われて俺は心の底から悲しくなった。だから俺は誰からも文句を言われない史上最も楽しいダンジョンを作る。つまり至高のダンジョンだ! それに対して異論は無いな?」


「「「有りませーん!」」」


「よろしい。至高のダンジョンを作るにはコンセプトが重要だ! お前たちはダンジョンに何を求める?」


「そうだねー、やっぱり経験値かなぁ?」


「ご主人様。私はアイテムだと思います!」


「ゴールドも重要よ」


「俺はミステリーとスリルも重要だと思うな。他に何かあるか?」


「他? んー? ダイエット!」


「その位かなー?」


「何言ってるんだ! まだまだ有るぞ!」


「他ですか? んー! 温泉!」


「じゃあ、出会い!」


「温泉と、出会いか……それはかなり個性的な意見だが面白いな。他には無いか?」


「ありません」


「同じく」


「まぁ、必要な要素はこんなとこだろう。次にこの中でどれを取り入れるかだが……至高のダンジョンにとって必要な要素はどれだ?」


「経験値とアイテムとゴールドは欠かせないよね?」


「そうですよねー」


「それだけか?」


「結局のとこ、この辺りだよね?」


「甘い! 甘すぎる! 俺なら全部入れる!!」


「全部?」


「そうだ。全部だ! 至高のダンジョンを目指すなら、顧客の全てのニーズに答えなければならない。全てのお客さんの為に! それが至高のダンジョンのモットーだ!」


「「うおおーー!!」」


「でも、そんなにたくさんの要素、一つのダンジョンに詰め込める?」


「何を言ってるんだ。これだけ広い土地を持ってるんだろ? 全部のダンジョンを建設すればいい。この広大な敷地に全部の要素を取り入れてしまえばいいじゃないか! 温泉ランドやスパーランドを見てみろ! あんなちっちゃな敷地なのに世界の30の温泉のうえに、サウナ、プールまで付いてるんだぞ! しかもプールには7つのプールと7つのスライダー付きだ! 至高のダンジョンが温泉ランドやスーパー銭湯如きに負ける訳にはいかん!」


「そう言われると、そうだねー!」


「ご主人様、カッコいいです!」


「という事で、まずは調査だ。この世界にある有名なダンジョンを全て攻略するぞ」


「全部回るの? 個人運営のプライベートダンジョンを除いたメジャーダンジョンだけでも一つの大陸に10ずつで3大陸合わせて30も有るんだよ?」


「全てを知らなくては至高のダンジョンを語る訳にもいかないだろう」


「確かにそうだけど」


「細かい事を考える時間は無駄だ。まずはレッドレイクのダンジョンを一週間で全部攻略するぞ!」


「「「おー!」」」


 転移石でレッドレイクに行き宿を取ると片っ端からダンジョンを攻略した。


 1日目は初心者向けダンジョン3つを攻略し、中級者向けダンジョン4つを2日掛けて攻略、それ以降は普通に攻略するとはアライアンスでも半年は掛かる最高難易度のダンジョンを各1日掛けて3つ攻略した。


 全てで6日。


 これだけのハイペースでダンジョンを攻略するのはトッププレイヤーの揃う赤獅子騎士団でも無理だろう。


 さすが半端ない強さの俺たちのパーティーと言ったところだ。


 宿屋の戻りレッドレイク領のダンジョンの総括を行う。


「ダンジョンを攻略してみてどう思った?」


「そうだね、お兄ちゃんが語ったような至高のダンジョンには及びもしない感じだったね。戦うだけで単調でつまんなかった」


「ご主人様が強すぎるせいだと思うんですが、深く潜っても仕掛けみたいなのは無くて強さを変えた敵が出てくるだけでしたね」


「そうね。おなじダンジョンの階層増やして敵の強さを変えてるだけで、基本全く同じ作りだったね。ゲームで言うイージーモードとハードモードの違い位にしか思えなかった」


「そうだな。この大陸のダンジョンを全て制覇したけど見るべき点は何処にもなかったな。俺達が作るダンジョンは全て一品物。おなじコンセプトのダンジョンは作らない様にしよう」


「でも同じコンセプトのダンジョンを二つ以上作らないとなると、同じダンジョンを難易度を変えて作れない事になるので勿体なくない?」


「それなら大作を考えてある。例えば10層の初心者ダンジョンだとすると超初心者は3層目でゴール、初心者は7層目のゴール、上級初心者は10層目でゴールする感じに途中で分岐させれば問題無い」


「なるほど。難易度でコースを分岐させて変えるのね」


「ただな、ちょっと気掛かりな事が有った。ダンジョンには宝箱が設置してあったけど1000層のダンジョンを作ったとしたら1フロアに1個の宝箱としても1000個も宝箱が必要だろ? そうなると宝箱の中身の補充だけで一日が暮れてしまうんじゃないか? 敵の補充も考えると新たなダンジョンを作ってる暇が無くなりそうなんだよな。その辺りを考えると作るダンジョンは一つだけに絞った方がいいのかもしれない」


「あー、それなら大丈夫だよ。ダンジョンコアを設置すればいいから」


「ダンジョンコア?」


「ダンジョンの管理をする魔道具よ。宝箱の補充管理や敵の補充管理なんかのダンジョン経営が自動で出来るの」


「そりゃ便利だな」


「すごーい。ミキちゃん詳しいね」


「チームでプライベートダンジョンを経営しようかと思ってちょっと調べた事が有るんだ。ダンジョンコアがちょっと高くて手が出せなくて実現しなかったけどね」


「チームでそんな事してたんだ。知らなかったよ」


「ヘブンちゃんがチームに入る前の話だよ。まだチームがガチ勢だった頃の話」


「ふえー」


「ダンジョンコアはダンジョン型のモンスターみたいな物なんだ。冒険者を食らって成長するの」


「こわっ!」


「人を食べるのかよ」


「食べるって言っても経験値だけね。倒した人間は生き返らせて指定の宿屋に転送するよ」


「金まで取るのか。恐ろしいモンスターだな」


「魔道具だからモンスターって言うのは正確にはちょっと違うかな。でもモンスターと凄く似てる。ダンジョンに入って来た冒険者をやっつけるとダンジョンにダンジョンポイントと言う経験値が入るの。その経験値を使ってダンジョンを拡張したりお金に換金したり宝箱の補充とか敵の補充を自動で行うのよ」


「なにその便利アイテム。凄く欲しい」


「昔は錬金術ギルドで扱ってたけど、ガイヤ君なら自分で作れるんじゃない?」


「作れるのか……って錬金リストにあるな。よし早速作ってみよう」


 材料をかき集め、早速錬金してみる。


 材料費は1個100万ゴルダと高かったが仕方ない。


 錬金スキルをカンストしてる俺にとってはダンジョンコアを作る事は容易い事だった。


 しかも出来上がったのはHQ品。


 ノーマル品よりもダンジョンポイントが倍入る優れもの。


 これ一つで100層のダンジョンが作れる。


 10000層のダンジョンが作りたければ100個のダンジョンコア同士を錬金すればいい。


 実際は分岐とかも必要だから100個じゃ済まないだろうけど。


「ダンジョンコアを作るには作ったけど使い方が解らないな」


「ダンジョンに設置したらメニューが出るから使い方がわかるみたいよ」


「すごーい!」


「ミキさん凄いです」


「うへへへ」


 雪に褒められていかがわしい顔をするミキさんであった。


「よし、じゃあ村に戻るぞ」


「え? タルミとガルマンのダンジョンは行かないの?」


「レッドレイクのダンジョンがどこも面白く無かったから、他を回る意味は無いと思うぞ」


「確かにね。じゃあ、お兄ちゃん帰ってダンジョン作ろう!」


 翌朝、俺たちは村に戻って新たなダンジョンの建設を始める事になった。

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