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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第二章 真魔王を倒した結果ほぼ全裸で雪原に放り出されたが、なんだかんだで成り上がる
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転移石

 夕方、俺は村に戻ると宿屋で待つヘブンと雪にお土産の串焼きを渡す。


 串焼きは肉と共にピーマン、玉ねぎ、にんにくを刺してこんがりと炭火で焼いたバーベキューみたいな物。

 

 肉がかなり大きく食べ応えがあるのとタレが絶品で美味しいとの評判で、レッドレイクの名物料理の一つだ。


 二人とも大喜びだ。


「おいしい」


「ご主人様! これ美味しいです! 美味しすぎます! なんですかこれは! 美味しすぎて頭おかしくなっちゃいそうです! ウマーです! ウマー!」


 雪は串焼きに頭をやられて完全に壊れていた。


 こんな雪はすごく可愛いな。


 *


 食事を済ませた俺は帰り道の中考えていたことを実行に移すことにした。


「この世界から戻れないなら、この世界で生活するしかない。ならば金が必要だ」


 俺は絶対金になるであろう転移石の作成に取り掛かることにした。


 錬金90は普通ならそこに達するまで途方もない時間が掛かるが、今の俺なら数日も掛からずに到達出来る筈。


 ガチャのスキルさえ有れば1日で何とかなる。


 俺は金になりそうな装備を大量に作ると、装備を売りにレッドレイクの街に戻る。


 既に日はどっぷりと暮れて星空を覗かせる時間だったが、この辺りの首都だけあって客足は途絶えず飛ぶように売れた。


 儲けは合計で50万ゴルダになった。


 そして、それらのお金全てを錬金スキル上げの資金とし、素材の購入につぎ込む。


 俺は宿に部屋を取り生産を始める。


 スキル上げの副産物の出来上がった生産品は売れるものは売り、売れない物は店売りで安値で処分して錬金スキル上げの素材購入資金に還元する。


 俺は凄まじい勢いで錬金スキルを上げた。

 

 上げまくった。

 

 周りの廃上げしている錬金術師がスキル50に届くか届かないかと言う中、俺は深夜2時に転移石がどうにか作れるスキル81に到達したのだ。


 そして転移石の素材を一個1,000ゴルダで1,000個分買い漁ると村へと戻った。


 早朝、村に戻った俺は宿で天使と雪の無事な寝顔を確認すると、転移石を作りまくった。


 二人が目覚める朝8時前にリュック一杯の転移石+3を1000個を作り上げた。


 俺がホッと一息ついていると目覚めた雪が心配そうに声を掛けてくる。


「ご主人様、寝ないで作業されてたのですか?」


「ああ、稼げるときに稼がないとな……」


「あまり無茶はしないで下さい」


「雪、お前に頼みが有るんだがいいか?」


「何でもおっしゃってください」


「俺、徹夜で作業して眠いからこれから寝るけど、悪いんだけどこのリュックに詰め込んだ転移石1,000個をレッドレイクの街で売って来てくれないか? たぶん一個10,000ゴルダでも飛ぶ様に売れると思う」


「レッドレイクと言うとあの串焼きの売ってる街ですか?」


「そうだ、あの串焼きの売ってる街だぞ。全部売れたら串焼きを食べてきていいぞ」


「ほ、本当ですか?」


「ああ、好きなだけ食べて来い」


「うわ~! ご主人様ありがとうございます!」


「値段はボッタくるだけボッタくっていいぞ。売れるなら30,000ゴルダでも、50,000ゴルダでもボッタくっていい。高く売れたらお土産も買ってきていいぞ!」


「わたくし、死ぬ気で頑張ってボッタくって売ってきます! では!」


「あ、ちょっと待って……顔が見えて騒ぎになると困るから、頭から被れるローブとマスクを使ってくれ。あと、この転移石を雪に一個やるよ。行った事の街にすぐ移動できるから帰りは一瞬で帰って来れるぞ」


「ご、ご主人様、ありがとうございます! これでご主人様もお土産の温かい串焼きを食べれますね! じゃあ行ってきます!」


 雪は転移石のぎっしり詰まったリュックを背負うと物凄い勢いでレッドレイクの街に向かった。

 

 俺はベッドに横になるとそのまま眠りに落ちた。


 目が覚めると昼を過ぎていた。


 目が覚めたんでは無く、正確には天使に起こされた。


「お兄ちゃん、お腹空いた……起きてよー」


 俺は張り付いた瞼を無理やり開けて、重い体を起こして起きた。


「す、すまん。食事の用意を忘れてたな。食堂に食べに行こう」


 二人で、宿の食堂に行く。


 この前と違ってちゃんと服を着ているせいかジロジロ見られる事は無かった。


「もう体の調子はいいのか?」


「うん、完全に直った。もう元気ビンビンだよ。今まで心配かけてごめんね」


「じゃ、好きなだけ食っていいそ」


「やった!」


 天使はハンバーグ、ピラフ、ピザ、シチューを平らげる。


 いくら病み上がりでお腹が空いてるとは言え、ここまで食べると食い過ぎでデブるのが心配だ。


「よし、食べたらすこし体動かすか!」


「ほーい!」


 俺達は村の周囲でレベル上げを始め、夕方には森の奥まで進み巨大なイノシシや凶悪な巨大ワニを倒すまでに成長した。


 レベルは俺がLV44でヘブンがLV38だ。


「ずいぶん頑張ったな」


「頑張ったね。それにしてもLV1からのレベル上げにしては私たち強すぎるし、レベルの上がり方が早過ぎなかった?」


「ガチャのスキルは消えたんだけど、効果はずっと効いてるみたいなんだよな」


「ふえ~。じゃあサクッとカンストのLV99まで上げちゃおうよ」


「だな。上げられるだけ上げようぜ。明日は豚王の城に行って一気にLV99まで上げよう」


「うん!」


 俺が村に戻ると、レッドレイクの街からちょうど雪が戻って来た。


 お土産の串焼きを持っていると言う事は全部売れたんだろう。


「どうだ? 転移石売れたか?」


「これがもうバカ売れで、全部売り切れました。たんまり稼がせてもらいましたよ」


 雪は、ずっしりとお金の詰まったリュックを俺に渡す。


 どう見ても100万ゴルダやそこらのお金じゃ無い。


「お、お前……一体、転移石をいくらで売って来たんだ?」


「ご主人様から串焼きの為にボッタくれって指示が出ていましたので、最初は5万ゴルダで売ってたんですけどバカ売れだったので一個50万ゴルダで売って来ました!」


「ちょっ! 雪! お前ボッタくり過ぎっ!」


「ダメでしたか……ごめんなさい」


「いや、えらい! お前は商才が有る! さすがだ!」


「えへへっ」


「明日も、頑張ってくれな」


「はいっ!」


 雪は串焼きの山と格闘している。


 俺がリュックの中を確認すると、リックの中には4億5,000万ゴルダが詰められていた。


 いくらなんでも稼ぎ過ぎだろ。


 それをアイテムボックスの中にしまい込む。


 これで盗難やうっかり落とす事は無い。


 あの噂『転移石を作ればぼろ儲け出来る』って話は嘘じゃ無かった。


 あと一週間は、錬金80に達する錬金術師はいない筈だ。


「今が稼ぎ時だな!」


 このビッグウェーブを逃す訳にはいかない!


 乗るしかない!


 このビッグウェーブに!


 その夜、俺は翌日分の転移石3,000個分を仕込みベッドに入った。

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