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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第二章 真魔王を倒した結果ほぼ全裸で雪原に放り出されたが、なんだかんだで成り上がる
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解熱剤

 俺は高熱で苦しむ妹のヘブンの解熱剤を求めて雑貨屋に向かった。


 この世界の解熱剤と言うと火照った体の体温を下げる『アイスドリンク』しか思いつかない。


 これの本来の使い道は溶岩洞や灼熱の砂漠等の猛暑地帯での活動をする為に体温を下げる為の薬品だ。


 本当に解熱剤として効き目が有るかと言われると今ひとつ自信が無いがこれ以外に熱を下げるアイテムなんて物は心当たりが無かった。


 俺は雑貨屋に駆け込む。


 当然の如くこんな辺境の穏やかな気候の初心者向けの村では砂漠や火山に行く冒険者なんて居る訳もなくアイスドリンクを取り扱っているわけが無い。


 確実に売っているのはレッドレイクの街。


 だがここから片道3時間、往復3時間掛かる。


 高熱で苦しんでいる天使を待たせるにはあまりに長い旅路だ。


 それでは妹の容態が悪化して手遅れになってしまうかもしれない。ならば……。


 この村の周辺ではスモールリーフの名が示す通り薬草の素材となる草がふんだんに自生している。


 ここではおおむね調薬スキルレベル20になるまでの薬草の材料となる素材が取れるのだ。


 アイスドリンクを作る為に必要な生産の調薬スキルは15。


 その-3スキルのスキル12からが実用的に生産出来るスキル範囲だ。


 そこまでスキルを上げれば自作しようと思えば作れない事は無い。


 初級職人と言われる生産スキルレベル30迄なら簡単に上がるはずだ。


 きっとアイスドリンクを作れるようになるLV12までスキルを上げるのにレッドレイク迄の道程の片道ぐらいの時間で済むだろう。


 俺は調薬スキルを上げ、解熱剤を自作することにした。


 生産スキルを上げるにはちょっとしたコツがある。


 コツさえ守ればスキルを上げること自体は簡単だ。


 生産レシピとスキルとの関係は以下の通りとなる。


・『自分の生産スキル値 >= レシピのスキル値』 の場合、

 生産は確実に成功するが、スキルは上がらない。


・『自分の生産スキル値 < レシピのスキル値』で、その『差が3以下迄』の場合、

 ほぼ失敗無く生産出来る。

 ただし自分の生産スキルの上がり方はかなり鈍い。


・『自分の生産スキル値 < レシピのスキル値』で、その『差が5以下迄』の場合、

 生産に時々失敗することが有る。

 ただし生産の成否に関係なくスキルが上がる。


・『自分の生産スキル値 < レシピのスキル値』で、その『差が5を超える』場合、

 ほぼ失敗する。

 ただし生産が成功した場合はスキルが大きく上がる。


・『自分の生産スキル値 < レシピのスキル値』で、その『差が10を超える』場合、

 レシピとのスキル差が開き過ぎて生産する事が出来ない。


 効率的にスキルを上げるなら、常に『自分のスキルレベル+3超え~+5以下』の生産レシピのスキルで生産を続ければ効率的に上げられる。


 調薬のレシピの素材は消費アイテムと言うことも有って至って簡単だ。


 スキル3

 HP回復薬

 素材:水、薬草×1


 スキル6

 毒消し

 素材:水、毒消し草×1


 スキル9

 MP回復薬

 素材:水、聖草×1


 スキル12

 目薬

 素材:水、涙草×1


 スキル15

 アイスドリンク

 素材:水、さまし草×1


 要するに水さえ用意すれば草を拾うだけで作れる。


 水もそこら辺の小川や村の井戸でいくらでも入手出来る。


 草もふんだんに村の周りに自生しているのでいくらでも手に入る。


 これらのレシピを次の順序で作り続ければ目的のアイスドリンクに最速で到達出来る。


 スキル0~0.9 HP回復薬

 スキル1~3.9 毒消し

 スキル4~6.9 MP回復薬

 スキル7~9.9 目薬

 スキル10~ アイスドリンク


 俺はさっそく調薬スキル上げに取り掛かった。


 村の外に自生している薬草を集める。


 そしてその場で調薬を始めた。


 まずはHP回復薬だ。


 ──HP回復薬+3を手に入れた。 スキル0.5上昇


 ──HP回復薬+3を手に入れた。 スキル0.5上昇

   調薬スキルが1に上がった。


 連続でハイクオリティー品が出来たのですぐにスキルレベル1にあがった。


 ──毒消し+3を手に入れた。 スキル0.5上昇


 ──毒消し+3を手に入れた。 スキル0.5上昇

   調薬スキルが2に上がった。


 ──毒消し+3を手に入れた。 スキル0.5上昇


 ──毒消し+3を手に入れた。 スキル0.5上昇

   調薬スキルが3に上がった。


 ──毒消し+3を手に入れた。 スキル0.5上昇


 ──毒消し+3を手に入れた。 スキル0.5上昇

   調薬スキルが4に上がった。


 何かおかしい……スキルが上がり過ぎる。


 通常は上がっても0.1や0.2が多いのに、超成功の0.5が連発している。


 それに、なぜに+3のハイクオリティー品しか出来ない?


 このレベルでは作れないはずの+3のハイクオリティー品が何故に連続して出来る?


 通常ならば自分のスキルがレシピスキルの+30は無いとコンスタントに超成功品は作れるはずがない。


 明らかにおかしい。


 だが俺には心当たりが有った。


 あのガチャのスキルだ!


 確か手に入れたスキルの中で『完全生産』という物が有った。


 その効果は『全ての生産が最高品質で作成される』であったと思う。


 もしかしてスキル自体はメニューのステータス情報から見れないがその効果自体は継続しているのでは?


 俺は調薬スキルを6まで上げると、この仮説を立証する為に通常では作る事の出来ないスキルレベル+9のレシピに挑戦してみる事にした。


 目的の『アイスドリンク』だ。


 ──アイスドリンク+3を手に入れた。 スキル0.9上昇


 間違いない!


 あのガチャのスキルは継続していた。


 ガチャのスキルを検証……いや、その前にアイスドリンクをヘブンに届けないと!


 俺は10本ほどアイスドリンクを作ると宿屋に戻り天使にアイスドリンクを飲ませた。

 すると嘘の様に熱が下がった。


「おにいちゃん……ここどこ?」


 ヘブンの意識が戻ったようだ。


「安心しろ、ここは宿屋だ。お前は体調を崩してるんだからしばらくここで寝てなさい」


「うん。ありがとう」


 ヘブンはホッとしたのか、すぐに眠りに落ちた。


 俺は作った薬の山を雪に渡す。


「悪いけど、ヘブンの世話を頼むよ」


「わりました。ご主人様! この雪にお任せ下さい!」


 俺は宿屋を後にすると引き続きスキルの検証に戻ることにした。

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