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全財産をガチャに注ぎ込んだ結果、チームでハブられていた俺は成り上がる  作者: かわち乃梵天丸
第二章 真魔王を倒した結果ほぼ全裸で雪原に放り出されたが、なんだかんだで成り上がる
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レスティア氷河

 気がつくと俺はレスティア氷河の雪原の中に横たわっていた。


 僅かな粉雪が俺の髪の毛や服に積もっていた。


 刺す様な寒さが俺を襲う。


 身体の芯まで冷え切っている。


 さ、寒い……。


 そりゃ寒いはずだ。


 俺は全ての装備を失いインナーだけ、つまりシャツとパンツだけになって雪原の中に放り出されていた。


 寒さで指が凍えて真面に動かない。


 顎もガクガクと震える。


 何か着れる物は無いかとアイテム欄を漁ってみる。


 装備は……全て消えていた。


「なんだと!? あれ程苦労して手に入れた装備が無くなっているだと? まだメンテの時間前だろ? 消えるはずは無いんだが? どこかに落したんだろうか?」


 辺りを見るが雪の降り積もった雪原が見えるだけで、それらしい物は何処にも落ちて無かった。


 それにあの地割れに落ちた時に装備が外れたと考えても、普通じゃ無くすはずの無い指輪まで失っていると言うのはおかしかった。


 どう見てもアイテム消失のバグです。


 久々の大バグかよ。


 詫びアイテム貰えるな。


 運営さんありがとうございます。


 他に何か持ってないか?


 持っているのはアイテム化されたレアパトルヌスの『雪』と、アイテムのアバター変更チケットだけだった。


「まいったな……」


 とりあえず現況確認だ。


 持ち物は先ほど言ったアイテムの2つだけ。


 装備は全て無い。


 装備なんてどうでもいい。


 寒い、寒すぎる。


 服くれ、服。


 このままでは凍え死んでしまう。


 なにか僧侶の魔法を使えないか見てみるが更に絶望に俺を追い込む。


 レベルが……ぐはっ……LV1に戻ってる。


 ステータスも全部6やら8の初期値だ……。


 スキルも……全てを失っていた。


 まいったな……。


 俺は、俺の一番大切な物を失っているの事に気がつき青ざめた。


 俺の一番大切な妹の天使ヘブンちゃんが居ない!


 俺は大声で叫びながら辺りを探し回った。


「ヘブン! ヘブン! どこに行った? ヘブン! ……」


 遠くからか細い声が聞こえた。


 俺はその声の元に駆け寄る。


「お、おにいちゃん……」


 天使は冷雨に濡れた小動物の様に岩に寄りかかり小さく丸まり震えていた。


「無事だったか!」


「寒い……」


 ヘブンが今にも消えそうな小さな声で言った。


 ヘブンも装備を失い身に着けているのはブラジャーとパンティーのインナーだけだ。


「大丈夫か?! 今、転移石で……」


 転移石を取り出そうとすると、当然の如くアイテムボックスの中には入っていなかった。


 これじゃ氷河から抜け出せない……。


「じゅ、呪文で温めてやる……」


 呪文も覚えていたはずなのに消え去り当然の如く使えなかった。


「寒い……」


 妹の声はさらに小さくなり今にも命の灯火が消えそうだった。


 鑑定してみるとヘブンもLV1に巻き戻っている。


 ヘブンもバグに巻き込まれたか。


 おまけにステータスが疫病と悪寒の状態に……完全に風邪をひいている状態だ。


 ヘブンに辛い思いをさせる訳にもいかないのでさっさとログアウトするかとメニューを見てみるがメニューの中に有るべきロウアウトボタンも、GMコールボタンも全てが空白のブランクとなり消えていた。


 一体どうなってるんだよ……でも、悩んでる暇はない。


 ここから抜け出さないと、妹が『死ぬ』。


 俺はインナーのシャツを脱ぎヘブンに着させる。


 シャツ一枚じゃ防寒効果は有ってない様な物だけど着ないよりはマシだ。


 俺は寒さで動けなくなったヘブンを背負いこの雪原から脱出することにした。


 背に乗せたヘブンは氷の様に冷たかった。


 この雪原から徒歩で抜けるには氷の洞窟を抜けてレッドレイク方面へ抜けるしか無い。


 俺は氷の洞窟を目指す。


 途中氷の精霊や白虎、月狼等の何体かのモンスターに出会う。


 どれも今の俺にとっては凶悪なモンスターだ。


 今絡まれたらLV1なので勝てる訳が無い。


 俺はそれらに気づかれないように慎重に避け雪原を進む。


 氷の洞窟にはすぐに辿り着いた。


「大丈夫か? ヘブン寒くないか?」


 氷の洞窟に入ると相変わらず寒かったが寒風にさらされる事が無くなったせいか背負ったヘブンの震えが止まった。


「大丈夫……でも眠い」


「そうか、寝ておけ。お兄ちゃんがちゃんと町まで連れて行ってやるから、安心して寝ていろ」


「ありがとう」


 天使は、そう言うと俺の背中で寝息を立てて眠った。


 氷の洞窟に入ったものの、ここからは通路が狭くなるので敵をかわすだけの道幅は無い。


 この洞窟にはどうやっても敵を避けられず敵と戦かわないと通り抜けられない場所がいくつかある。


 でも今のLV1の俺では100%この洞窟の敵を倒す事なんて無理だろう。


 ならば一思いに死んでしまってホームポイントに飛んでしまうか?


 いや、それは危険だ。


 俺のホームポイントをメニューから見ると、ブランク、つまり死亡時の帰還ポイントが設定されてなくて空白と表示されていた。


 ブランクの場合、死んだら意識を取り戻したあの雪原に戻される可能性が非常に高い。


 もしかしたらホームポイントが設定されてないのでこの冷たい氷の洞窟に死体となって永遠と横たわっている可能性も無くは無い。


 ログアウトできない状態でそれだけは避けねばならない事だ。


 俺は余計な考えを捨て氷の洞窟を進むことにした。


 すぐに決断の時は訪れた。


 敵が洞窟の真ん中で陣取り動かないでいた。


 ケーブスライムだ。


 物理攻撃はほとんど効かず、LV20超の魔法使いでやっと倒せる敵だ。


 まず俺には勝てない。


 どうするか……。


 アイテム欄を見ると、レアパトルヌスの『雪』があった。


 ヘブンの事で頭がいっぱいで、すっかり雪の存在を忘れていたよ。


 でもレベルが巻戻ってるだろうから必殺技のダイヤモンドダストも使えないだろう。


 それ以外に使える技が有るんじゃないかと淡い期待をしつつ俺はダメ元で雪を呼び出す。


 青白い光に包まれて俺の目の前にレアパトの雪が現れた。


 小学生高学年ぐらいの白髪の雪女だ。


 雪が何時も見せてくれる笑顔で言った。


「ご主人様、ここはどこですか? 私たちさっきまで魔王と戦っていましたよね?」


「よく分らないんだけど、城から放り出されて雪原に横たわっていた」

 

「あー、なんかお城壊れちゃいましたもんね」

 

「呼び出していきなりですまないんだが、あのスライムを倒せるか? あのスライムを倒せるような、なにか使えるスキルを持ってるか?」

 

「雪にお任せください。あの位の敵ならちょちょいです!」


 そう言うと雪はフッと息を吹きかける。

 

 氷の吐息『ダイヤモンド・ダスト』だ。

 

 スライムはその息を被ると一瞬で凍り、雪は指をパチンと鳴らした。

 

 すると氷が砕ける様にスライムが崩壊した。

 

 『アイスブレイク』だ。

 

「ダイヤモンドダストを使えたのかよ!」

 

 半端無い攻撃力だ。

 

 雪を鑑定してみると幸いな事にLV99のままだった。

 

 俺とヘブンはバグでLV1に巻き戻ってたけど、雪はパトだからレベル巻き戻しに巻き込まれなかったようだな。


 順調に敵を倒していく雪。


 コウモリも雪サソリも一撃だ。


 これなら俺のレベルも少しは上がるかと思ったが残念な事に雪のレベルの99に対して俺のレベルは1であまりにもレベル差が有るので経験値は入ってこなかった。


 入って来るのは極僅かな小銭だけである。


 30分ほど掛けて俺達は洞窟を抜けた。


 そこはレッドレイク領である。


 先程までの寒々した洞窟では無く牧歌的な景色が広がっていた。


「洞窟抜けたぞ!」


「…………」


 ヘブンから返事は無かった。


 天使の額を触ると焼ける様に熱かった。


 高熱だ。


 妹は高熱を出していた。


 ヤバいことになってしまった。


「大丈夫だ。急いで宿に連れていくからな!」


 俺はヘブンを背負いながらここから一番近いスモールリーフの村を目指す。


 俺は全速力で走りスモールリーフの村に辿り着く。


 宿屋と小さな雑貨屋だけがある小さな村だ。


 初心者の頃はレベル上げで良く世話になった村だ。


 宿屋に駆け込みなけなしの金で部屋を取りヘブンを宿のベッドに寝かす。


 熱は40度を超えている様だ。


 間違いなく風邪だ。


 天使の息がかなり荒くなっていた。


「はぁ……、はぁ……」


 高熱に苦しんでるせいかヘブンの息が荒れていた。


 BBBでは敵から悪疫を貰ってステータス異常になる事は有っても風邪なんて病気になるなんて事は無かったんだが……。


 どうなってるんだよ?


 俺は雪にヘブン看病を任せると薬の入手に向かった。

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